「お姉さん、会社の化粧品タダでしょ?」と友達の分も施術をねだる義妹。私が口を開くと、義妹の笑顔が消えた
座敷で聞こえた義妹の頼みごと
義妹は義母のそばで、また無料の施術をねだりました
夫の実家の座敷で、私は夫の妹である義妹、義母と座卓を囲んでいました。
話は、義妹の挙式の半年前にさかのぼります。
結婚を控えた義妹が、美容サロンで働く私に、肌を整える全8回のコースを頼んできました。
お祝いのつもりで引き受け、勤務先のサロンで正式に予約を取りました。
費用は私が負担し、施術の日程も義妹の都合に合わせて調整しました。
挙式の日、義妹の肌は以前よりもきれいに整い、式に来た人からもほめられていました。
私もうれしく思っていましたが、義妹から返ってきたのは、軽い「ありがとう」の一言だけでした。
それからしばらくたったある日、義妹が座卓の湯のみに手を添えながら、気軽な調子で友達にも式の前と同じコースを受けさせてほしいと言い出したのです。
「お姉さん、会社の化粧品タダでしょ?」
私が言葉に詰まっても、義妹は気づく様子がありません。
どうやら、私が勤務先のサロンで働いているというだけで、施術も化粧品も無料で利用できると思い込んでいるようでした。
私は自腹だったことを言い出せず、返事に詰まりました
隣の義母は、にこやかに義妹の話を聞いています。
式の前の費用については、お祝いのつもりだったので、義母にも話していませんでした。義妹も、サロンの代金について一度も尋ねてきたことがありません。
自腹だったと今さら言えば、恩着せがましいと思われるかもしれません。
そんな気持ちから、これまで費用の話を避けてきたのです。
私が返事をためらっていると、義妹は当然のことのように言葉を重ねました。
「式の前も、タダだったでしょ。」
私の返事を待つこともなく、義妹は湯のみに目を落としました。
「お茶、冷めたなあ。」
そうつぶやくと、義妹は湯のみを置きました。
義母は何も言わず、急須を手に取ってお茶を入れ直そうとします。
義妹は昔から、家族に何かをしてもらうことに慣れているところがありました。
今回の施術のお願いも、その延長なのかもしれません。
義妹をまっすぐ見た私
私は式の前のコースを自腹で用意したと、義妹に告げました
その様子を見て、私はようやく自分の気持ちを伝えようと決めました。
義妹に悪気はないのかもしれません。それでも、これ以上は無理なお願いを引き受けたくありませんでした。
私は膝の上で手を握り直し、義妹の目をまっすぐ見ました。
「式の前のコースは、全部自腹だったの。」
義妹は驚いたように顔を上げました。
8回分のコース代は、すべて私がサロンに支払っていました。さらに、自宅でも肌の手入れができるよう、化粧水や美容液も私が購入して渡していたのです。
社員だからといって、施術や商品が無料になるわけではありません。義妹に受けてもらったコースも、きちんと料金を支払って利用したものでした。
「お祝いのつもりで、何も言わなかった。」
隣で、義母が小さく息をのむのが分かりました。
私は続けて、今回の友達の分まで費用を負担することはできないと伝えました。友達が施術を希望するなら、通常のお客様と同じように予約してもらう必要があります。
義妹は小さな声で謝り、その後は無料の施術を頼まなくなりました
義妹の口元から笑顔が消えました。何か言おうと口を開きかけましたが、すぐに目を伏せます。
義母も、私が費用を負担していたことを初めて知り、驚いた様子でした。そして、義妹のほうへ向き直りました。
「自腹だったのに、お礼はしたの?」
その問いかけに、義妹は目を泳がせました。
私からお金を請求されたわけではなくても、これまで無料だと思い込んでいた施術に、実際は費用がかかっていたことを知り、戸惑っているようでした。
しばらく沈黙が続いたあと、義妹は膝の上で両手を握りしめました。
「ごめんなさい。」
小さな声でした。
私はうなずきました。義妹を責めたいわけではありません。ただ、私が負担していたことを知ってほしかったのです。
その後、義妹から友達の施術について頼まれることはありませんでした。
義妹の普段の振る舞いが大きく変わったわけではありません。それでも、以前のように私の仕事をあてにして、気軽に無料のお願いをしてくることはなくなりました。
義母も、私が費用を負担していたことを理解してくれたようです。
何より、私自身が無理な頼みごとにはきちんと断っていいのだと思えるようになりました。
ずっと胸につかえていたものが、あの日を境に少し軽くなった気がします。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














