「あの家のお祝いって送った?」数か月遅れで合格祝いを送った僕。その後、親戚の奥さんが電話口で笑いながら告げた言葉にゾッとした
夫婦で忘れていた合格祝い
去年の春、うちの子が高校に合格したとき、僕のいとこの家からお祝いが届きました。
今年は反対に、いとこの家の子が高校に合格したと聞き、夕飯の席で妻がその話を切り出しました。
「去年いただいたんだから、うちもお祝いを送らないとね」
「そうだな。そのうち用意しよう」
そう返事をしたものの、僕はその後、特に何もしませんでした。妻からもお祝いの話は出ず、いつの間にか春が過ぎてしまったのです。
夏のある昼、郵便受けに、いとこの家から暑中見舞いが届いていました。
あの家から暑中見舞いをもらうのは初めてです。
居間に持っていくと、妻が横からはがきをのぞきこみました。
「暑い日が続きますが、お変わりありませんか、だって」
ごく普通の季節の挨拶で、ほかに何か書いてあるわけでもありません。
ところが、はがきを見ているうちに、僕は春に話していた合格祝いのことを思い出しました。
「そういえば、あの家のお祝いって送った?」
「えっ?あなたが送ったんじゃないの?」
「いや、てっきりそっちが送ってくれたと思ってた」
「だって、あのとき用意するって言ってたでしょ。あなたのいとこだし、任せたつもりだったんだけど」
言われてみれば、確かにそう返事をした覚えがあります。
お互いに相手が送ってくれたと思い込み、結局どちらも何もしていなかったのです。
「ごめん、俺がちゃんと確認すればよかった」
僕は慌ててお祝いを用意し、何か月も遅れて送ることになりました。
暑中見舞いが届いたのは単なる偶然かもしれませんが、ちょうどお祝いを忘れていたことに気づいたので、少し気になっていました。
お礼の電話で聞いた一言
お祝いを送ってしばらくたった夜、夕飯を終えてくつろいでいると、家の固定電話が鳴りました。
受話器を取ると、いとこの奥さんでした。
「お祝い、ありがとう。届きましたよ」
明るい声でそう言われ、僕は遅くなったことを改めて謝りました。
「いやあ、すみません。夫婦で、お互いが送ったものだと思い込んでいて……」
「あら、そうだったのね」
奥さんは笑いながら答えました。
僕も少し安心したのですが、続いて思いがけない言葉が返ってきました。
「うちはね、いただいたものは全部ノートにつけているのよ」
「そうなんですか」
「そうそう。何をいただいたかだけじゃなくて、いただいた日も、ちゃんと書いておくの」
「へえ、きちんとされてるんですね」
「去年、お宅のお子さんに何をいつ送ったかも、ちゃんと書いてあるわよ」
奥さんは変わらず明るい調子でしたが、僕はどう返せばいいのか少し迷いました。
贈り物の記録を残すこと自体は、何もおかしくありません。お返しを忘れないために、そうしている家庭もあるでしょう。
ただ、こちらが何か月も遅れてお祝いを送った直後だったので、日付の話が妙に気になったのです。
電話を終えると、そばに来た妻が尋ねました。
「誰からだったの?」
「いとこの奥さん。お祝いが届いたって」
「よかったね」
「うん。ただ、もらったものは日付まで全部ノートにつけてるんだって」
「へえ、そうなんだ。じゃあ、今回のお祝いも記録されてるんだね」
「まあ、そういうことだよな……」
僕たちは顔を見合わせ、少し苦笑いしました。
それから親戚との間で、特に何かあったわけではありません。
奥さんも、単に普段の習慣を話しただけなのかもしれません。
それでも、あの暑中見舞いと電話の言葉を思い出すと、何となく引っかかるものがあります。
来年の夏、また暑中見舞いが届いたら、今度は何か忘れていないか、つい考えてしまいそうです。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた50代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














