「甘やかすのはやめろ、男だぞ」息子に厳しい義父。だが、夫がその場で返した正論
義実家の食卓で、息子が箸を落とした
息子が幼稚園の年中だった頃、義実家の夕食は毎回、緊張の時間でした。何を食べたかより、義父に何を言われたかだけが記憶に残っています。
その日は、息子が箸を落とし、床に転がる乾いた音が響きました。私が拾おうと手を伸ばすより先に、義父が箸置きを鳴らします。
「甘やかすのはやめろ、男だぞ」
「そうやってかばうから、いつまでも一人で何もできないんだ」
息子は椅子の上で固まり、味噌汁の椀を両手で抱えたまま動けません。義父はかまわず続けます。
「男が泣くな」
息子の目が、みるみる潤みました。落ちた箸を拾う私の指先が、少し震えていたのを覚えています。
その日だけの話ではありません。会うたび、義父は同じ言葉を息子に浴びせました。転べば「立て」、怖がれば「情けない」
息子は義実家の門をくぐる前から、私の手を強く握るようになっていたのです。
義父は、夫の前でも遠慮しませんでした。
「お前の嫁さんは、子育てが優しすぎる。昔はもっとビシッとやったもんだ」
夫は箸を止めましたが、そのときはまだ、何も言いませんでした。
その場で椅子を鳴らしたのは、夫だった
湯気の立っていた食卓が、しんと静かになりました。私は箸を置いて、義父の方へ向き直ります。
「お義父さん、その言い方はやめてください。この子、怖がっています」
「最近の親は過保護すぎるんだ。だから子どもがひ弱になる」
何を言っても届かない。そう思ったとき、隣で椅子が鳴りました。夫が立ち上がったのです。
「父さん、今のは違うよ。子育ては、俺たちのやり方でやる。口出しは控えてくれ」
義父の眉が、跳ね上がりました。
「なんだと!俺が育ててやった恩を忘れたのか」
「じゃあ聞くけど。泣くなって怒鳴られて、俺は強くなったのかな」
義父の顔から、みるみる血の気が引いていきました。何か言おうとして、口が半分開いたまま止まります。
二度、三度と息を吸い、それでも言葉は出てきません。やがて椅子を引き、こちらに背を向けたまま、黙って縁側へ出ていきました。台所にいた義母が、鍋を置いて、夫に向かって小さく頷きます。
「はっきり言ってもらえて、助かりました」
私がそう言うと、義母は流しの前で手を止めました。
「ずっと、私も言えなかったのよ」
あれから、義父が息子に強い言葉を投げることはなくなりました。
この前は、息子が庭で転んで泣いたとき、義父が縁側で立ち止まり、私の顔をうかがったのです。
「…抱いてやっても、いいのか」
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














