夫「手伝うことある?」→「手伝うじゃなくて、あなたの家事でもあるでしょ」とキレた妻。後日、夫が家事を手伝うようになったワケ
ソファの夫が放った一言
夫婦そろってフルタイムで働いている。その日も残業が長引き、くたくたになって玄関のドアを開けた。
居間では、先に帰っていた夫がソファに寝転がり、スマホの画面にじっと見入っていた。台所はしんと静まり返り、夕食の支度はまったく手つかずのままだ。
重い足を引きずってキッチンに向かうと、夫が画面から目を離さずに言った。
「手伝うことある?」
軽い、何気ない調子だった。だからこそ、胸の奥がざらりとした。
「手伝うじゃなくて、あなたの家事でもあるでしょ」
静かに返すと、夫はむっとしたように体を起こした。
「良かれと思って聞いたのに、その言い方はないだろ」
「いいよ、もう。自分でやるから」
それ以上は、何も言わなかった。重苦しい沈黙の中、その夜もまた、私が一人で台所に立った。冷蔵庫を開けても、献立を考える気力すら残っていなかった。
数えた家事は、30個近く
言い合っても、平行線をたどるだけ。それなら感情ではなく、目に見える数で示そうと決めた。
休日、私は我が家の家事を、思い出せる限りすべて紙に書き出していった。
朝食、ゴミ出し、洗濯、買い出し、夕食、風呂掃除、保育園の支度に、調味料の補充。数え終えてみれば、その数はおよそ三十個にのぼった。
書き上げた紙を、リビングの壁にまっすぐ貼り付ける。
帰ってきた夫が、その紙の前でぴたりと立ち止まった。
「これ、なんの紙?」
「うちの家事、全部数えてみたの」
私は声を荒げず、ただ事実だけを差し出すように聞いた。
「この中で、あなたが手伝うじゃなくて、担当してるのはどれ?」
夫は黙ったまま、リストを上から順に目で追っていった。一行ずつ、確かめるように指でなぞっていく。
その視線が、途中で止まった。なぞっていた指先が、宙で固まる。
「……ない、な。一個も」
かすれた声だった。三十個の家事の中に、自分の担当だと胸を張って言えるものが、ただの一つもなかったのだ。
「手伝うって言い方、上から目線だったんだな」
「全部、お前がやってくれてたんだ」
夫はそうこぼすと、しばらく壁の前から動こうとしなかった。
翌週から、リストの担当欄に、夫の字が増えていった。ゴミ出し、風呂掃除、週末の買い出し。書き込まれた欄が、一つ、また一つと増えていく。
気づけば、「手伝おうか」というあの言葉は、我が家からすっかり消えていた。終えた家事の欄に黙々とチェックを入れていく夫の背中こそ、あの夜の言い合いが残した本当の答えだった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














