「ポイ捨てする人は許せない」マナーに厳しい隣人。だが、駅のホームで見た本性に絶句
マナーに厳しい隣人
以前住んでいたマンションの隣人は、ご近所のマナーにとても厳しい女性でした。
エレベーターで一緒になると、誰それのゴミの出し方がなっていない、駐輪場の停め方が悪いと、次々に指摘を並べます。
「ポイ捨てする人は許せない」
それが彼女の口ぐせでした。公園のカラスがうるさいからと、役所に何度も電話を入れたことも、まるで手柄のように話していました。
だらしない人が許せないのだと。
「ちゃんとしてない人って、見てるだけで腹が立つのよね」
その勢いに気圧されて、私はいつも相づちを打つだけでした。
正義感が強い人なのだろうと、深くは考えないようにしていたのです。ここまで言うのだから、さぞご自分は完璧にしているのだろう。
そう思い込んでいた自分が、あとで少し恥ずかしくなりました。
電車を待つホームで
ある休日、出かけた先の駅のホームで、私は偶然その隣人を見かけました。
電車を待つ列から少し外れて、彼女は手元で何かをしています。
よく見ると、食べ終えたお菓子の袋や紙くずを、ホームの隅にぽとりと落としているのです。
ゴミ箱は目の前にあるのに、拾う気配もありません。
彼女は素知らぬ顔で列に戻ろうとしました。あれだけ人のマナーを責めていた口で、です。私は思わず言葉を失いました。
ちょうどそこへ、ホームを見回っていた駅員さんが近づいてきました。
「今、こちらに捨てられましたね。拾っていただけますか」
穏やかな、けれどはっきりとした声でした。彼女の表情が一気に凍りつきます。
「あ、いえ、これは……」と口ごもり、それ以上は続きません。
周りの人たちが何事かと振り返る中、彼女は震える手でゴミを拾い集めました。
彼女は顔を伏せたまま、逃げるように人混みへ消えていきました。
人のマナーを裁くのが好きだった人の、あまりに正直な本性に、私はしばらく絶句してしまいました。それ以来、彼女の武勇伝を聞くことは一度もありません。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














