「勉強に200万かけたのよ」中学受験に躍起だった友人の過剰すぎる警戒。後日、友人から届いたメッセージ
スーパーで会った同級生
実家近くのスーパーで、高校時代の同級生と数年ぶりに顔を合わせた。カートを押す隣には、名の知れた進学校の制服姿の息子がいた。
参考書の入った塾のバッグを肩にかけ、いかにも真面目そうな少年だった。あの子のためなら、彼女はどんな苦労も惜しまないのだろう。
「わあ、久しぶり。息子さん、あの学校に通ってるの?」
ほほえましくて、私は素直にそう声をかけた。
中学受験、頑張ったんだね、という軽い気持ちだった。
ところが彼女は、はっと身構えて息子を自分の後ろに隠した。
「その話は、あんまりしないの」
まるで機密でも守るような口ぶりに、私は面食らった。
「どこの塾とか、聞かれても言わなくていいからね」
息子にそう言い含める横顔は、ひどく張り詰めていた。私はただ挨拶をしただけなのに、警戒だけがびりびりと伝わってくる。
「……そっか。じゃあ、また」
気まずさだけを残して、私たちはレジの前で別れた。
買い物袋を提げて駐車場へ向かう間も、あの張り詰めた横顔が頭から離れなかった。ただ挨拶をしただけで、あんなに壁を作られるとは思わなかった。
過剰な警戒の裏側
その夜、地元で会った別の友人にこぼすと、彼女は納得したようにうなずいた。
「勉強に200万かけたのよ」
その額を、彼女は誰にも無駄にされたくないのだと言う。
苦労して集めた塾や面接のノウハウを、同じ学校を狙う家庭に一つでも渡したくない。だから、旧友の私にすら手の内を見せまいと構えていたらしい。
「あの子、他の家に負けたくないのが人一倍なのよ」
「だから最近、ちょっと聞かれただけでもピリピリしてるのよ」
面接の練習に通わせた塾、家庭教師、模試の費用。
積み上げた金額を思えば、必死になるのも無理はないのかもしれない。
200万という数字の重みは、確かにわかる。
それでも、旧友との再会まで探り合いにしてしまうのは、あまりに息苦しい生き方に思えた。
私は受験のライバルでもなければ、情報を盗む相手でもない。
ただ、久しぶりに会えたことを喜びたかっただけだ。
「そんなに気を張ってたら、しんどいだろうにね」
そう漏らすと、地元の友人も「ほんとにね」と肩をすくめた。
数日後、彼女から「この前は余裕がなくてごめん」と連絡が来た。
私は「全然気にしてないよ」と返した。
身構え続けた彼女の警戒は、守りたかったものより先に、その必死さのほうを際立たせてしまった。私は肩の力を抜いたまま、これからも変わらず、ただの同級生でいようと思う。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














