「ゆっくり選んで大丈夫ですよ」昼の混んだパン屋で、迷う女の子に店員がかけた一言
レジの前で決められなくなった女の子
昼休みの時間帯、私は駅近くのパン屋に立ち寄りました。
店内は混んでいて、レジには六人ほどの列ができています。
午後の予定があった私は、時計を気にしながら順番を待っていました。
ようやく列が少し進んだとき、先頭にいた親子のところで動きが止まりました。
小学校に上がる前くらいの女の子が、ショーケースのパンを見ながら迷っていたのです。
「さっきのにする?こっちにする?」
母親が尋ねても、女の子はなかなか決められません。
どうやら最初に選んだチョコパンより、隣に並んでいる別のパンのほうが気になってきたようでした。
「後ろも待ってるから、もうこれにしよう」
母親が小声で促すと、女の子は困ったように黙り込んでしまいました。
母親は後ろの列を振り返り、「すみません」と申し訳なさそうに頭を下げます。
私も急いではいましたが、子どもなら迷うこともあるよな、と思いながら様子を見ていました。
列を止めずにかけた、店員のひと言
すると、レジの店員さんが穏やかに声をかけました。
「ゆっくり選んで大丈夫ですよ。決まるまで、こちらでお待ちください」
そして母親に、「先に次のお客様のお会計をしますね」と伝えました。
親子はレジ横の邪魔にならない場所へ移り、列はそのまま進み始めます。
店員さんは私たちの会計を手際よく続けながら、ときどき女の子のほうを見ていました。
急かす様子はありません。
少しすると、女の子が母親の袖を引きました。
「決めた。こっちにする」
母親がほっとした顔でレジへ戻ると、店員さんは笑顔でうなずきました。
「決まったんですね。じゃあ、それにしましょう」
ほんの短いやり取りでしたが、母親の表情が明らかにやわらいだのを覚えています。
列を止めて全員に我慢をさせるわけでもなく、かといって迷っている子どもを急かすわけでもない。
その場にいる誰かを無理に我慢させるのではなく、少し工夫するだけで空気はこんなにも穏やかになるのだと思いました。
私の会計が終わって店を出ると、少し後から親子も出てきました。
女の子は紙袋を大事そうに抱えています。
急いでいたはずの私まで、なんとなく気持ちが軽くなった昼休みでした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














