「出費が多くて、3万円だけ貸して」言っていることと行動が合わない親戚→私が初めて断った瞬間
封筒を数える係になった
祖父の法事の前に、費用を親戚で出し合うことになりました。
取りまとめ役の伯母を手伝って、私は封筒を数える係になったんです。
名前と中身を一枚ずつ確かめて、紙に書き出していきます。
3万円、2万円、1万円。金額は自由という話でしたから、多い少ないは誰も口にしませんでした。
封筒の表には、それぞれの名前が筆で書いてありました。中身を確かめて紙に写すと、伯母が横に小さく丸をつけていきます。
その中に、ひときわ軽い封筒がありました。書き出した紙のいちばん下に、その名前が残りました。
うちが一番出した
法事のあとの集まりで、その封筒を出した親戚が声を張りました。
「あれだけ包んだのは、うちだけだからな」
「ほかの家は、気持ち程度だろう」
紙に書き出したのは私です。
それでも、その場では何も言いませんでした。金額は自由だと、最初に決めた話です。
数日後の夜、その人から電話がありました。前置きはありませんでした。
「出費が多くて、3万円だけ貸して」
「出費、というのは」
「法事だよ。うちが一番出したから、今月が厳しくてな」
断る言葉は、そのときは出てきませんでした。
来月には返すという約束で、その日は貸しました。
二度目の電話
来月になっても、連絡はありませんでした。
こちらから聞くと、返事は短いものです。
「今は厳しいから、また今度な」
その次の月、同じ時間にまた電話が鳴りました。画面の名前を見てから、少し待って出ました。
「今度は2万でいいんだ。来月には必ず返す」
「前の3万円が、まだなんです」
受話器の向こうで、息を吸う音がしました。
「いや、それは……そのうち、まとめて」
「まとめてでも構いません。ただ、次はお貸しできません」
言い終わってから、自分の声が震えていないことに気づきました。しばらく間があって、わかったという返事だけが返ってきました。
それから、お金の話で電話が鳴ることはなくなりました。
年末の集まりで、その人は私の向かいに座りました。法事の話にはなりましたが、いくら包んだという話は、もう出ませんでした。
「今年は、世話になったな」
そう言って頭を下げたその人に、私も同じだけ頭を下げました。伯母が台所から、湯呑みを二つ運んできたところでした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














