「友達の結婚式が続いて、今月だけ足りないの」お金を借りた妹。だが、SNSで流れてきた写真に思わず絶句
最初の相談は、たしかに切実だった
妹とは月に一度は電話をする仲でした。用がなくても近況を話すくらいには、距離が近かったと思います。
その夜の声だけは、いつもと違いました。
「友達の結婚式が続いて、今月だけ足りないの」
「重なるときは、重なるもんね」
足りない額を聞くと10万円でした。翌月の給料日に返すという約束で、私はその日のうちに指定された口座へ振り込みます。
疑う気持ちはありませんでした。家族に貸せる範囲の額でしたし、頼ってもらえたことに少し安心してもいたのです。何年も連絡だけは切らさずにきた相手が、いよいよ困ったときにこちらを選んでくれた。そのくらいの気持ちでいました。
2度目からは、理由が先に来た
約束の月に連絡はなく、こちらから尋ねました。
「今月も厳しい、10万円は待って」
言い方が申し訳なさそうで、責める気にはなれません。あと3ヶ月と言われて、私は分かったとだけ返しました。
その3ヶ月が過ぎると、また連絡が来ます。今度は理由のほうが先に来るようになりました。出費が重なった、思ったより残らなかった、来月こそ。返済の話は、その理由のうしろに小さく付いてきます。
「無理な月は言ってね」
「うん、ごめん。ほんとにごめん」
謝られてしまうと、それ以上は聞けなくなりました。催促というより、こちらが責めているような形になってしまうからです。
写真が流れてくるたびに
そのころから、妹の投稿が目に入るようになりました。ほとんど毎月です。旅先の海、誕生日のケーキ、友人と並んだ写真。
どれも楽しそうで、実際に楽しかったのだと思います。
(このぶんは、どこから出ているんだろう)
そう思ってしまう自分のほうが嫌でした。写真の一枚ずつに値段を貼りつけるようなことを、以前の私はしていません。
妹の暮らしぶりを勘定する姉になっている。それが一番こたえます。
3年が過ぎ、10万円は1円も戻っていません。それでも私は、返してと打ちかけた文を何度も消してきました。文字にすると、貸したときの気持ちまで嘘になる気がするのです。
送信を押せないまま画面を閉じた夜が、もう何回あったか分かりません。
親には話していません。妹が悪者になる場面を、わざわざ作りたくないからです。
先週も電話で普通に笑いました。切ったあとに残るものだけが、少しずつ増えていきます。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














