「ちょっと融通きかないね。新人さん?」追加料金を拒むカラオケ客。だが、店長が冷静に対応した結果
受付のときは5〜6人だった部屋
カラオケ店でアルバイトをしていたころの、週末の夜のことです。
その日はどの部屋も満室で、私は飲み物を運ぶために忙しく廊下を行き来していました。
ある部屋のお客様は、受付のときには20代から30代くらいの男女5〜6人でした。
飲み放題のコースを利用していて、最初からみんな顔が赤く、かなりにぎやかな様子でした。
ところが、何度目かに飲み物を届けたときのことです。
部屋に入ると、明らかに人が増えていました。立ったまま歌っている人もいて、数えてみると10人を超えていたのです。
途中から何人か合流したようですが、追加の注文は入っていません。
私は入口から声をかけました。
「すみません。後から来られた方も、飲み放題の追加か、ワンドリンクのご注文をお願いできますか?」
すると、マイクを持っていた男性客がこちらを向きました。
「ああ、すぐ帰るんで大丈夫です」
「そうなんですね。ただ、お部屋をご利用になる場合は、ご注文をお願いしていまして……」
説明を続けようとしましたが、男性は「はいはい」と軽く返事をして、マイクを持ち直してしまいました。
私はいったん部屋を出て、少し様子を見ることにしました。
店長が確認したのは、飲んだかどうかではなく…
しかし、その後も誰かが帰る気配はありません。
私はもう一度部屋を訪ねました。
「すみません。先ほどお伝えした、追加の方のご注文なんですが…」
すると、奥に座っていた女性客が面倒そうに答えました。
「え、まだ言ってるの?」
「申し訳ありません。お部屋をご利用いただく場合は、お一人ずつご注文が必要なんです」
「最初の人たちは飲み放題なんだし、ちょっといるくらいいいじゃない」
困っていると、手前にいた男性客も口を挟んできました。
「じゃあさ、後から来た人も同じ終了時間でいいから。それでも追加料金かかるの?」
「はい、ご注文はお願いしていまして……」
「えー、そうなの?ちょっと融通きかないね。新人さん?」
周りからも笑い声が上がり、私はそれ以上うまく説明できなくなってしまいました。
これ以上一人で対応するのは難しいと思い、フロントに戻って店長に相談しました。
40代くらいの男性店長は、私から事情を聞くと、部屋へ向かいました。
「失礼します。途中から何名か合流されたと伺ったんですが」
店長が声をかけると、先ほどの男性客が答えました。
「ああ、そうです。でも、もう帰るんで」
「そうなんですね。今、お部屋には何名様いらっしゃいますか?」
男性客は周りを見渡しましたが、すぐには答えませんでした。
そこで店長は、部屋にいる人数を一人ずつ確認しました。
「受付のときより、人数が増えていますよね。後から来られた方は、まだご注文されていないということでよろしいですか?」
「まあ、そうですけど。別に飲んでないですよ」
すると店長は、穏やかな口調で説明しました。
「飲まれているかどうかではなくて、お部屋をご利用になる方には、お一人ずつご注文をお願いしているんです。最初の方の飲み放題に含めることはできませんので」
男性客は少し不満そうな顔をしました。
「え、ちょっと来ただけでも?」
「はい。皆さまに同じようにお願いしています」
店長が落ち着いて答えると、それまで笑っていたお客様たちも静かになりました。
しばらくして、手前の男性客が頭をかきながら言いました。
「……わかりました。じゃあ、追加の分も払います」
結局、会計では後から来た人数分の料金もきちんと支払われました。
お客様たちが帰ったあと、店長は片付けをしながら私に言いました。
「ああいうときは、まず人数を確認するといいよ。飲んだかどうかの話になると、なかなか終わらないからね」
確かに、私はずっと追加注文をお願いすることばかり考えていました。
相手の言い分に振り回されず、店のルールを落ち着いて説明することも大切なのだと学んだ出来事でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














