tend Editorial Team

2026.10.27(Tue)

「浮いたお金で愛車購入するまでの記録」彼女の部屋で見つけたノート。そこに並ぶ見覚えのある金額にゾッとした

「浮いたお金で愛車購入するまでの記録」彼女の部屋で見つけたノート。そこに並ぶ見覚えのある金額にゾッとした

財布を出すたびに見た、彼女の笑顔

10年ほど前、付き合っていた彼女とのデートでは、食事代などの支払いをほとんど私が受け持っていました。

彼女は会計が終わるまで隣で待ち、店を出ると、いつも笑顔でお礼を言ってくれました。

「今日もおいしかったね」

「うん。また行こうか」

「いつもごちそうさま、ありがとう」

その言葉を聞くのが、私はうれしかったのです。

店を選ぶのはいつも彼女で、会計をするのは私。それが私たちなりのデートの形なのだと、特に疑問も持っていませんでした。

ある休日の昼、私は彼女のワンルームの部屋に招かれました。

彼女は部屋の奥のキッチンでやかんを火にかけ、鼻歌を歌っていました。

「お茶、すぐ入れるから。適当にしてて」

「うん、ありがとう」

待っているあいだ、机の端に一冊のノートが置かれているのが目に入りました。

何のノートだろうと思い、私はつい手に取って開いてしまいました。

ノートに並んだ、見覚えのある金額

ページには、日付と店の種類、その横に金額が細かく書き込まれています。

パスタを食べた日、焼き鳥を食べた夜。見覚えのある日付が次々と出てきました。

並んでいるのは、私が支払った食事代でした。

最初は何のための記録なのか分からず、何ページも目で追ってしまいました。

いけないことをしていると思いながらノートを閉じると、表紙には「愛車購入への道」と書かれていました。

気になって最初のページを見直すと、そこにはこうあります。

「浮いたお金で愛車購入するまでの記録」

思わず、もう一度その文字を読み返しました。

最後のほうには、目標まであといくらかも記されていました。残りの金額は、思っていたよりずっと小さなものでした。

彼女は、私が払った食事代を、自分の「浮いたお金」として数えていたのでしょうか。

そう考えた瞬間、いつも聞いていたお礼の言葉が、別の意味を持って感じられました。

もちろん、なぜこんな書き方をしていたのかは、彼女に聞かなければ分かりません。

それでも、何も知らずに得意になっていた自分が急に恥ずかしくなりました。

キッチンから湯を注ぐ音が聞こえ、私は慌ててノートを元の向きに戻しました。

彼女が湯のみを持って振り向きます。

「お茶、入ったよ。熱いから気をつけてね」

「……ありがとう」

「どうしたの?座りなよ」

「ああ、うん。いただきます」

彼女はいつもどおりの笑顔でした。

湯のみの温かさを感じながらも、私はうまく顔を上げられませんでした。

結局、その日はノートのことを一言も聞けませんでした。

机の端には、さっき私が戻したノートがきちんと置かれています。

何度も聞いてきた「ありがとう」を、これから前と同じ気持ちで聞けるのか、自分でも分かりませんでした。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.11.03(Tue)

「内定、2社しかもらえてないの」と嘆くフリで自慢する友人。いつも受け流していた私が笑顔で返した一言
tend Editorial Team

NEW 2026.11.03(Tue)

「あとから来る車のために取ってるのよ!」朝市の駐車場で場所取りする女性。だが、誘導係が告げたひと言に思わず沈黙
tend Editorial Team

NEW 2026.11.03(Tue)

「3万貸して。ボーナスで返すよ」とゲームの課金で生活費に手を出す夫。私が立ち上がった夜、床に座りこんだ夫の姿
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.09.09(Wed)

「ずいぶん簡単なんだな」故人を送る席で不満を漏らす親戚。だが、祖父の姉の言葉で空気が一変
tend Editorial Team

2026.01.24(Sat)

「障がい児を産め、流産しろ」たぬかなが妊娠公表後の凄惨な中傷に絶句…「なんて貧しい国に」と嘆く日本の現状
tend Editorial Team

2026.09.25(Fri)

「誰の自転車か分からないんです」自分の駐輪場所を使われた男性。だが、同じ区画に止めた住人が、最後に語った事情
tend Editorial Team