「注文と違う!」ランチどきのファミレスで作り直しを要求した常連客。だが、店長が注文記録を確認すると態度が一変
「注文と違う!」ランチどきに響いた常連客の怒声
私が20代のころ、ファミリーレストランのホールでアルバイトをしていたときの話です。
その店には、週に何度も顔を見せる中年の男性の常連客がいました。
男性は来店するたびに、何かしら文句を言う人でした。
「水が遅い」「料理が熱すぎる」「今日はぬるいな」
ほかのスタッフにも同じ調子だったため、私も男性が来ると少し身構えるようになっていました。
ある日のランチタイム。店内はほぼ満席で、ホールのスタッフは忙しく動き回っていました。
そんな中、例の男性が来店しました。
席に着くなり店内を見回し、舌打ちをします。
「混んでるな。料理は早く持ってこいよ」
私はいつもどおり対応し、注文された料理をテーブルへ運びました。
ところが、皿を置いて離れようとした瞬間です。
「おい、ちょっと待て。注文と違うぞ!」
突然の大きな声に、近くのお客さんがこちらを振り向きました。
私は慌ててテーブルの伝票を確認しました。しかし、そこに記載されている料理と、運んだ料理は一致しています。
「申し訳ありません。伝票では、こちらのお料理になっているのですが…」
すると男性は、さらに声を荒らげました。
「はあ?俺が違うって言ってるんだよ。口答えするのか?」
「いえ、そういうつもりでは…」
「だったら、さっさと作り直してこい!」
周囲の視線が気になり、私はすっかり萎縮してしまいました。
このまま言い合いを続けても仕方がありません。私は頭を下げ、店長に事情を伝えに行きました。
店長が注文の記録を確認すると、男性の態度が一変
事情を聞いた店長は、すぐに男性のテーブルへ向かいました。私もその隣に立ちます。
「ご注文と違うお料理だったとのことですね。確認いたします」
男性は不機嫌そうに皿を指さしました。
「そうだよ。違うものが来たんだ。早く作り直してくれ」
店長はすぐに作り直しを約束するのではなく、注文を記録した端末を確認しました。
そして、落ち着いた声で記録の内容を読み上げました。
「記録では、こちらのお料理を承っております。お持ちしたものも同じですね」
男性は黙ったまま、店長を見ていました。
店長は続けて尋ねました。
「ちなみに、どちらのお料理をご注文されたのでしょうか?」
すると、それまで大声で怒っていた男性が、初めて言葉に詰まりました。
「いや……」
男性は皿に視線を落とし、それ以上は何も言いません。
店長は少し間を置いてから、もう一度声をかけました。
「別のお料理をご希望でしたら、あらためてご注文を承ります。いかがなさいますか?」
しかし、男性は返事をしませんでした。
近くのお客さんも、やり取りが気になっている様子でした。
しばらくすると、男性は黙ってフォークを手に取りました。
そして、あれほど作り直せと言っていた料理を、そのまま食べ始めたのです。
私は驚きましたが、それ以上の言い争いにならず、ほっとしました。
店長と一緒にホールの奥へ戻ると、店長が私にだけ聞こえる声で言いました。
「ちゃんと伝票を確認してくれてたから、すぐに状況が分かったよ」
「ありがとうございます。本当に焦りました…」
そう答えたとき、まだ指先が少し震えていることに気づきました。
男性がなぜあそこまで怒ったのか、結局は分かりません。
ただ、私一人ではどう対応すればいいのか分からなかった場面で、感情的にならずに注文内容を確認してくれた店長の姿が、とても心強く感じられました。
あの日の店長の落ち着いた対応は、今でも印象に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














