「座布団は8枚きり。余りは一枚もない」嫁を台所に追いやる義母。婚約祝いの席で、額に汗を浮かべて硬直
祝いの席で、嫁だけが数に入らなかった
義母は座布団は八枚きりだと言い切り、私を台所へ追いやります
晩秋の日曜、義妹の婚約祝いの食事会で、私は夫と義実家の座敷へ上がりました。
嫁いで間もない私が、この家の座敷に入るのはまだ数回目です。
長い座卓のまわりには、無地のえんじ色の座布団が並んでいます。
義妹とその婚約者、義父、親戚たちは、もう席についています。座卓には祝いの重箱とお吸い物の椀が並び、障子の外には晩秋の庭が見えています。
私が灰色のコートを手に入口で立ち止まると、小柄で短いパーマの義母が、腕を組んで近づいてきました。
「座布団は8枚きり。余りは一枚もない。」
義母は座敷の奥をちらりと見やりました。『家族と親戚で八人、ちょうど満席よ』
「あなたは台所で立って食べなさい。」
夫は何も言えず、私は座れる座布団を頼むこともできません
私の斜め後ろでは、グレーのセーターの夫が口を開きかけ、母親の顔を見て、また閉じました。
八枚のうち六枚には義父や義妹、婚約者、親戚たちが座り、残る二枚は夫と義母の分として空けてありました。それでも、私の座れる座布団は、どこにもありません。
嫁いで間もない私が余りを頼んでも、この家に味方はいません。
義母は、さらに畳みかけるように、私を見据えました。
「余りは家中に一枚もないわ。」
『座布団は昔から八枚だけ。買い足したこともないのよ。どれも先週洗ったばかり』
「洗濯待ちも一枚もない。」
反論しようにも、私には示せる物がありません。すると座卓の奥から、義妹の声が届きました。
「お義姉さん、コートは押入れの手前に掛けてくださいね。」
言い返せないまま、襖に手をかけた
襖を開けると、押入れには座布団が高く積み上がっていました
私は言われたとおり、座敷の端の襖に手をかけて、すっと開けました。
押入れの手前には、上着を掛けるための突っ張り棒が渡してありました。その奥には、えんじ色の座布団が何枚も高く積み上がっています。どれもふっくらとして、きれいにそろっていて、使われた気配はありません。
前日に夫から、義母が押入れの予備の座布団までまとめて洗っていたと聞いたことを思い出しました。
目の前に積まれているのは、その座布団のはずです。
夫が私の斜め後ろから、目をそらしました。私は積まれた座布団を見たまま、義母のほうへ顔を向けました。
『お義母さん』
「この座布団は何枚ですか。」
夫は押入れから座布団を一枚抜き、私の席へ運びました
義母は額に汗を浮かべ、眉を寄せました。口の端を引きつらせながら、座布団の山から目をそらします。さっきまでの腕組みはほどけ、片手が胸の前で自分の袖をつかんでいます。
「洗濯待ちよ、座っちゃダメなの!」
「洗ったばかりなら、このまま座れます。」
義母は先ほど、洗濯待ちの座布団も一枚もないと言い切っていました。それなのに、今度は洗濯待ちだから使えないと言うのです。しかも、押入れの座布団も先週洗ったはずでした。
座卓の奥から、義父の小さな咳払いが聞こえました。夫が『母さん』と、ひとこと漏らします。
夫が黙って押入れから座布団を一枚抜き、座卓の端に敷きました。義母は袖をつかんだまま、何も言えずに身を引きました。座布団が八枚きりだと言い切った嘘は、祝いの席で崩れたのです。
台所に立つはずだった私は、敷かれた座布団に腰を下ろしました。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














