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2026.10.30(Fri)

「お父さんには言わないのよ」お年玉の差を口止めした母。数十年後、父に事実を話した結果

「お父さんには言わないのよ」お年玉の差を口止めした母。数十年後、父に事実を話した結果

従姉の袋だけ、いつも中身が多かった

子どものころ、母方の従姉は毎年お正月になると、家族と一緒にわが家へ泊まりに来ていました。

同じ学年だった私たちは仲がよく、会えるのをいつも楽しみにしていました。

ただ、毎年のお年玉には、ひとつだけ気になることがありました。

母は私と従姉の両方にお年玉を渡していましたが、私の袋には5000円、従姉の袋には7000円が入っていたのです。

もらったあとに二人で中身を見せ合うのがお決まりだったので、金額が違うことにはすぐに気づきました。

最初はたまたまかと思いましたが、翌年も、その次の年も同じでした。

母は昔から、親戚の前では特によく気を遣う人でした。

私にはお茶を運ぶように言い、従姉には「ゆっくりしていってね」とお菓子を勧めていました。

ある年のお正月、私は片づけをしている母に、思い切って尋ねました。

「ねえ、なんで私のほうが少ないの」

母は一瞬手を止め、周りに誰もいないことを確かめてから答えました。

「あの子はお客さんでしょ。遠くから来てくれてるんだから」

「でも、私たち同じ学年だよ。毎年違うのはなんで?」

「あなたは家の子でしょ。わがまま言わないの」

私が納得できずにいると、母は少し声を低くしました。

「このこと、お父さんには言わないのよ」

「なんで?」

「いいから。お正月から余計なことで揉めたくないの」

それ以上聞くと怒られそうで、私は黙ってしまいました。

もちろん、2000円の差だけが嫌だったわけではありません。従姉には優しくするのに、私が理由を聞くと、わがままだと言われることが悲しかったのです。

それから何十年もたちましたが、あのときの寂しさは、ずっと心のどこかに残っていました。

父が初めて知った、お年玉の話

何十年もたったあるお正月、久しぶりに実家で親戚が集まりました。

昼食を終え、こたつを囲んで昔話をしていたときのことです。

従姉が懐かしそうに笑いながら言いました。

「そういえば、子どものころ、お年玉をもらったら二人で見せ合ってたよね」

「うん、覚えてるよ」

「おばさん、いつも私には少し多めにくれてたよね。あれ、なんでだったんだろう」

従姉に悪気はなく、ただ昔を懐かしんでいる様子でした。

私はどう答えればいいか分からず、曖昧に笑いました。

すると、近くで話を聞いていた母が口を挟みました。

「やだ、そんな昔の話。お茶、いれ直してくるわね」

母はそう言って、そそくさと台所へ向かいました。

その様子を、父が不思議そうに見ていました。

その夜、親戚が帰って家が静かになると、父が私と母に尋ねました。

「そういえば、昼間のお年玉の話だけど、あれはどういうことなんだ?」

母は少し面倒くさそうに答えました。

「子どものころの話よ。そんな昔のこと、もういいじゃない」

私は少し迷いましたが、ずっと胸にしまっていたことを話すことにしました。

「私が5000円で、従姉が7000円だったの。毎年そうだったから、子どものころ、お母さんに理由を聞いたことがあるんだ」

父は驚いたように母を見ました。

「娘より多く渡してたのか」

母は困った顔をして答えました。

「だって、あの子はお客さんだったし。せっかく来てくれてるんだから、少しくらい多くてもいいと思ったのよ」

私は続けました。

「でも、理由を聞いたら、わがまま言うなって怒られたの。お父さんには言わないようにって」

「口止めまでしてたのか?」

父の問いかけに、母はすぐには答えませんでした。

「別に、そんな大げさなことじゃないでしょ。たった2000円の話じゃない」

すると、父は静かな声で言いました。

「いや、金額の問題じゃないだろう。親戚に気を遣うのは分かるけど、娘が理由を聞いたときに、ちゃんと説明してやればよかったじゃないか」

私は父の言葉にうなずきました。

「私も、2000円が欲しかったわけじゃないよ。ただ、聞いただけで怒られたのが悲しかった。ずっと覚えてたんだよ」

母は何か言い返そうとしましたが、結局何も言わず、しばらく黙っていました。

翌朝、帰り支度をしていると、母が台所から出てきました。

「昨日の話だけど……悪かったわね」

私は母の顔を見ました。

「あのころは親戚にどう思われるかばかり気にしてたのかもしれない。嫌な思いをさせたね」

「うん。あのとき、そう言ってほしかった」

母は小さくうなずきました。

何十年も前のことが、たった一度の謝罪ですべて消えるわけではありません。

それでも、子どものころに言えなかった気持ちをようやく伝えられたことで、少しだけ心が軽くなった気がしました。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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