「家事は女性がやるものよね」義実家の食卓で笑いと共に流された一言→飲み込んだ違和感の正体
食事会の最後、片付けを始めた女性たち
義実家での食事会は、いつも夕方から始まる。
義母が腕によりをかけた手料理が並び、義父はお酒を、夫と義弟はビールを傾ける。私と義妹は子どもたちの世話をしながら、料理を取り分けて回る。
「ごちそうさま」の声が上がった頃には、お腹も満たされ、笑い声で部屋が温かくなっていた。
義父はほろ酔いで上機嫌、義母は孫の頭をなでて目を細めている。月に一度あるかないかのこの集まりが、義母にとっての楽しみなのは見ていて分かる。
食後のお茶をいれようと、義母が立ち上がる。私と義妹も自然と腰を上げ、空になった大皿を集め始めた。男性陣はテレビの前で、まだ話を続けている。
「家事は女性がやるものよね」
義母が、湯のみにお茶を注ぎながらにこやかに言った。私の手元にお茶を置きながら、まるで天気の話でもするような自然さだった。
誰も否定しなかった一言が残したもの
義妹が「あはは」と笑い、義父も「うんうん」とうなずく。夫は何かのスポーツ番組を見ながら、こちらに目線さえ向けなかった。
誰一人、その一言を否定しなかった。
会話はすぐに、来月の連休の予定の話へと流れていった。義母の言葉は、ささやかな冗談のように扱われ、空気の中に溶けて消えていった。
私だけが、お茶を一口飲み込めずにいた。
(私だけが、違和感を感じているのかな)
きっと義母に悪気はない。長年そうやって生きてきた人なのだろう。義妹も笑っていた。義父も夫も、何も思っていない。
だとしたら、引っかかっている自分の方がおかしいのだろうか。
そんな考えが頭をぐるぐる回って、私はただ黙って湯のみを両手で包んでいた。
キッチンに戻り、義妹と並んでお皿を洗う。蛇口から流れる水の音だけが、耳に大きく響いた。義妹は鼻歌交じりにスポンジを動かしている。気にしているのは、本当に私だけなのかもしれない。
(言わなくてよかった、と思いたい)
波風を立てるのが怖くて、結局その場では何も言えなかった。それは正解だったのか、それとも逃げだったのか。
帰り道の車内、子どもたちが後部座席で寝息を立てる中、私は夫にだけ「あの一言、ちょっと引っかかった」と打ち明けた。夫は前を向いたまま、「気にしすぎだよ」と笑って受け流した。それで会話は終わった。
飲み込んだ違和感は、消えてなくなったわけではない。家に帰っても、お風呂に入っても、布団に入っても、胸の奥でずっと小さく光り続けていた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














