「俺がまとめておいた」休日返上の企画書を奪った課長。だが、会議で真実を明かした結果
忙しい日だけ私を無視する直属の課長
会議の朝、直属の課長はずっと不機嫌でした。
前日の納期トラブルが尾を引いていて、「おはようございます」と声をかけても返事すらありません。
机の上の書類を、八つ当たりのようにぱさぱさめくっています。
こういう日が、いちばん危険なんです。挨拶を返さないだけならまだしも、ちょっとした誤字ひとつで「集中力が足りない」と長時間説教が始まる。
気分のいい日と同じ人とは思えないくらい、態度が変わる人でした。
その日も私は、自分が仕上げた企画書を黙ってプリントし、会議室に運びました。隣の席の同期が「大丈夫?」と小声で聞いてくれましたが、笑って肩をすくめるしかありません。
会議で当然のように発表した上司
会議が始まると、課長は資料を全員に配り、しれっと発表を始めました。
「俺がまとめておいた」
まるで自分が一から考え抜いた構成のような口ぶりです。
私が休日返上で何時間もかけて作った本文は、表紙の作成者欄だけがしっかり彼の名前に書き換えられていました。
これまでも、何度も同じことが起きていました。「方向性は俺が出した」と言われれば、それ以上強く出ても意味がない。私は黙って聞きながら、今日こそは、と心の中で決めていました。
静かな補足で取り戻した自分の成果
説明が一段落したところで、私は手元の資料に目を落としたまま、落ち着いた声で口を開きました。
「本当は全部、私が書きました」
長く話す必要はありませんでした。
怒りで震える声でも、咎めるトーンでもなく、ただ事実だけ。
それ以上の言葉は付けずに、視線だけで部長を見ます。
場の空気は、ほんの数秒だけ止まりました。課長は咳払いをして、「うん、構成は彼女が手を動かしてくれたから」と曖昧に修正します。
それでも、その一言で、隣に座っていた主任も部長も、軽くこちらに頷いてくれました。
私の手元の資料を、改めて見直してくれている顔でした。
その日以降、課長は会議の前にはきちんと「資料、彼女が作ったから」と一言付けるようになりました。
気分屋の本質は変わりません。それでも、書いた人の名前を消されないだけで、私の毎日はずっと軽くなったんです。
会議室を出たあと、隣の部署の主任が廊下ですれ違いざまに笑ってくれました。
「あの一言、よく出たね」
強く反論しなくても、事実を一行添えるだけで戻ってくるものがある。あの会議の静けさが、いまも背中を押してくれているような気がします。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














