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2026.06.01(Mon)

「敬語使えって何度言ったらわかるんだ」電話対応を毎回盗み聞きする上司たち。だが、隣の同僚の思わぬ指摘で状況が一変

「敬語使えって何度言ったらわかるんだ」電話対応を毎回盗み聞きする上司たち。だが、隣の同僚の思わぬ指摘で状況が一変

受話器を置いた瞬間の指導地獄

旅行の会社で営業事務をしていた頃の話です。

お客様への電話を一本かけるたびに、私の背後には決まって人の気配が集まりました。

直属の上司と、その取り巻きの数名の集団です。

受話器を置いた途端、後ろから声が降ってきました。

「敬語が足りない」「言い回しが軽い」「もっと丁寧に」

何度言ったら分かるんだ、というあの言い回しが、毎日のように繰り返されたのです。

こちらが何を言っても、最後は「分かってないね」で締めくくられる。

指導とは到底呼べない、ただの圧力でした。電話が鳴るたびに、心臓が一段ずれた位置で打つようになっていきました。

そんなある日、ベテラン顔の上司が受話器を置いた私の背後にぬっと立ち、こう吐き捨てました。

「敬語使えって何度言ったらわかるんだ」

続けて、まったく意味の分からない指導が放たれました。

「敬語で『〜してはる』って言わないと」

私は京都生まれではありません。

その表現を敬語として使った経験もない。ただ、その場で言い返す勇気もなかった。

私は黙って頷き、次の電話から「〜してはります」「〜何々はってます」と適当に語尾をいじって流すようになっていきました。

部長まで動いた、たった一言の波紋

違和感を抱えたまま数日が過ぎたある午後、いつもどおり「〜してはります」と電話で口にした直後のことでした。

隣の席の同僚が、目を丸くしてこちらを向いたのです。

「エセ京都弁!」

その鋭い突っ込みに、私はようやく気持ちが動きました。

集団から強要されているのだ、と小声で打ち明けると、同僚はとても驚いた様子で口元を押さえた。

「それ、強要されてるの?」

頷く私を、同僚はじっと見つめていました。何かを考え込むような、確かめるような表情だった。

それから席に戻り、しばらく黙って仕事を続けていたのです。

動きがあったのは数日後でした。部長が集団のメンバーを順に呼び出し、個別に話をしたらしいと、フロアの誰かが囁いていた。詳しい内容は私の耳には届きません。

ただ、その週を境に、私の背後に立つ気配は消えました。電話を切っても、誰も飛んでこない。受話器を置いた後の沈黙が、こんなに穏やかだったのかと驚いたほどです。

20代の私には、自分から声を上げる勇気はありませんでした。

隣の席で聞いていた同僚の、たった一言の鋭さが、職場の空気を確かに変えてくれたのです。

あの突っ込みがなかったら、私は今もどこかの会社で語尾だけ「〜はります」を貼り付けた電話を、息を詰めながらかけ続けていたかもしれません。隣の人がちゃんと聞いていてくれた、というそれだけの事実が、当時の私を救ってくれたのです。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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