「なんで最初から言ってくれなかったの?」女性と飲んでいた彼。だが、彼の言い分に何も言い返すことが出来なかった
帰ってきた彼の様子が、どこかいつもと違った
彼が帰ってきたのは、夜の10時を少し過ぎた頃だった。
「今日飲んできた?」と聞くと、「うん、先輩に誘ってもらって」とだけ返ってきた。それだけだった。
私たちのカップルには、お互いに異性との飲み会や軽い付き合いは制限しないというルールがある。
窮屈にならないために、2人で話し合って決めた取り決めだ。だから彼が誰かと飲みに行くこと自体は、何も問題ない。
ただ、以前は誰と飲みに行ったかを自然に話してくれていた。それが当たり前になっていたから、この夜のそっけなさが少し引っかかった。
「女性も来てたの」その一言が飛び出した
「誰と行ったの?」とさりげなく聞くと、男性の先輩ともう1人、女性の同席者がいたことを初めて聞かされた。
「誘われたって言えなかった。特に理由はないけど」と彼は言った。
悪意はなさそうだった。隠していたわけでもなさそうだった。ただ、言い出しにくかったのか、あるいは言う必要がないと思っただけなのか、その本当のところはわからなかった。
あの明るいトーンで言われると、余計に聞き返しにくかった。
「なんで最初から言ってくれなかったの?」と聞くと、彼は少し考えてから答えた。
「報告する義務ないでしょ」
正論だった。反論できなかった。でも、正論だからこそ、余計に言葉が詰まった。決められたルールを盾に取られた感じが、胸の奥に沈んでいく。
「言わなかった」だけで変わった、何か大切なもの
「黙っていた理由を聞けなかった」と後で気づいた。聞こうとしたけれど、途中で言葉が止まってしまった。
問い詰めても意味はない気がした。彼はルールを破っていない。ただ言わなかっただけだ。
でも、以前は言ってくれていた。決めてもいないのに、自然に話してくれていた。
その変化が静かに引っかかっている。ルールを決めたとき、私たちが信頼し合えているから大丈夫だと思っていた。でも今夜、その前提がほんの少しだけ揺らいだ。
どうして急に話してくれなくなったのか、聞けばよかったのかもしれない。でも聞き方がわからなかった。責めているように聞こえそうで、言葉を選ぶうちに黙り込んでしまった。
ルールがある関係が正解だと思っていた。でも今夜初めて、「自由にしていい」という言葉が、本当の意味での安心とイコールじゃないかもしれないと感じた。
翌朝も彼はいつも通りだった。私も普通に接した。でも胸の奥に残った小さなもやは、しばらく消えそうになかった。何かを確かめたいような、でも聞いたら終わりそうな、そんな感覚が残っていた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、20代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














