【実話怪談】夜8時の祖母の部屋で誰もいないのに供え物が床に→気配を感じて駆け下りた小学3年の記憶
父に頼まれて夜8時の二階へ上がった
小学三年生くらいの頃の、夜の話だ。
父からリビングで頼まれて、二階の祖母の部屋まで新聞を取りに行くことになった。
時計は夜の8時を回っていて、祖母は近所の集まりに出掛けていて、二階の部屋には誰もいない時間だった。
普段なら祖母がいる賑やかな部屋でも、留守だと急に空気が冷えて感じられる。
祖母の部屋の隅には、亡くなった祖父の遺影と低いテーブルがあって、その上にいつものお供え物の和菓子がひとつ置かれていた。
祖父のことは大好きだったから、怖いという気持ちはなかった。それでも階段を一段上がるごとに、自分の足音が二階の暗がりに吸い込まれていくのが妙に気になった。子どもの背丈には、家の二階の廊下は少しだけ広く感じられた。
通り過ぎただけなのに、和菓子が床に落ちた
部屋に入ると、ドアのすぐ左側に低めのテーブルがあった。
祖父の写真と、その前に置かれた小さな和菓子。心の中で祖父に挨拶をしてから新聞を手に取り、来た道を戻ろうとした。
ドアに向き直ると、写真は今度は右手側になった。
テーブルにも和菓子にも、私はまったく触れていない。
歩いて通り過ぎただけだった。ところがドアまであと少しというところで、後ろからことん、という小さな音が聞こえた。
振り向くと、テーブルの上にあったはずの和菓子が、いつのまにか床に落ちている。
私は慌てて屈み、和菓子を拾ってほこりを払い、また祖父の写真の前に戻した。誰もいない部屋なのに、置き直す手が少しだけ震えていた。
背中の冷たさに振り返れなかった
戻ろうとしてドアに向き直ったところで、もう一度立ち止まってしまった。
和菓子が落ちる理由が、どうしても説明できない。
風もない、揺れもない、何にもぶつかっていない。
なのに、私が通り過ぎた直後に床に転がっていた。
背後で誰かが、こちらを見ている気がした。気配と呼ぶには曖昧で、でも確かに肩のあたりが冷たかった。
「風もない、揺れもない」
口の中で小さくつぶやいた瞬間、もう振り返る勇気はなくなった。
新聞を強く抱え直し、廊下を全力で走って、階段を一段飛ばしで一階まで駆け下りた。
息を切らしてリビングに飛び込んで、父にその話を必死で訴えた。父は笑い飛ばすこともなく、ただ静かに新聞を受け取った。
あれは祖父が何かを伝えてくれたのだろうかと、大人になった今は思う。けれど答え合わせができないまま、あの夜の気配だけが今も心の隅に残っている。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














