「うちの味はこう。変なことしないで」と台所で文句を言う義母。だが、料理を食べた親戚の言葉で態度が一変
手元を見張られた台所
夫の実家に親戚が集う日、私は手伝いを買って出た。少しでも認めてもらいたかった。エプロンを締めて台所に入ると、義母がすぐ後ろに立った。
「うちの味はこう。変なことしないで」
義母はそう言って、私の隣から離れなかった。野菜の切り方を直され、味見をするたびに眉をひそめられる。
「それ違う」
「そうじゃないって言ってるでしょ」
何度そう言われたか、もう覚えていない。気づけば私は、鍋の前で立ち尽くすだけになっていた。それでも煮物の鍋だけは「ここは任せてください」と頼み込み、最後まで私が味を見て仕上げた。出汁を引いて、何度も舌で確かめながら、丁寧に煮含めていく。
思わぬ援護
食卓に料理が並ぶと、義母は親戚に囲まれて機嫌よく話していた。けれど不意に、声の調子を変えてこう言った。
「最近の人は家事ができないから困るわ」
誰のことか、言うまでもなかった。視線が一瞬、私の方へ向く。私は息を詰めて、皿に視線を落とした。
(笑ってやり過ごすしかない)
そう自分に言い聞かせた、そのときだった。
「あら、この煮物すごく美味しい。出汁が上品でお店みたいね。誰が作ったの?」
そう言ったのは、向かいに座る親戚だった。「お嫁さんよ」と誰かが答えると、煮物を口にした人たちが次々にうなずいた。
「本当だ、丁寧な味」「お代わりしたいくらい」と声が重なる。義母の頬が、こわばっていくのが分かった。
黙った義母
「いえ、私が下ごしらえを少し……」
取り繕おうとした義母の言葉は、途中で途切れた。親戚たちはもう、私の皿の話で盛り上がっている。
そのとき、隣の夫が静かに、けれどはっきりと言った。
「ちゃんと母さんの味、覚えてくれてるよ。教えてもらってありがたいって、いつも言ってる」
義母は反論の言葉を探すように口を動かし、けれど何も出てこなかった。小さく息を吐いて、視線をそらす。私と目を合わせることは、もうなかった。
「教えていただいたおかげです」
私はそれだけ、毅然と返した。次に台所へ立ったとき、義母はもう私の手元を見張らなかった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














