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2026.06.22(Mon)

「早く結婚して親を安心させろ」と親戚の前で言う叔父。だが、従妹の一言で黙り込んだワケ

「早く結婚して親を安心させろ」と親戚の前で言う叔父。だが、従妹の一言で黙り込んだワケ

料亭に響いた叔父の説教

祖母の米寿の祝いで、親族十数人が料亭の座敷に集まった。

仕出しの膳を囲み、久しぶりの再会に話がはずむ。

子どもの頃に遊んでもらった従妹も、すっかり大人になっていた。

盃が回りはじめた頃、威圧的なことで知られる叔父が、独身の私に絡んできた。

「早く結婚して親を安心させろ」

その声は座敷の隅まで届き、場の話し声が止まった。

私は苦笑いで受け流す。だが叔父は、それで終わらせてはくれなかった。

「30代にもなって、情けないと思わないのか」

料理が運ばれるたびに、同じ説教が蒸し返される。

皆が見ている前で何度も繰り返されると、笑って流すにも限界があった。せっかくの祝いの席で、なぜこんな話を延々と聞かされなければならないのか。

叔母たちは目を伏せ、誰も口を挟まない。叔父の声が大きくなるほど、座敷の空気は重く沈んでいった。私はひたすら、グラスを傾けてやり過ごすしかなかった。

普段おとなしい従妹の逆転

沈黙を破ったのは、意外な人物だった。普段はおとなしく、こうした場で発言などしない従妹が、まっすぐ叔父を見た。

「今は結婚の形も人それぞれだし、本人が幸せならそれでいいんじゃない?」

叔父が言葉に詰まる。その隙に、従妹はもう一歩踏み込んだ。

「叔父さんも昔は自由だったでしょ?」

そう聞いている、と従妹は静かに告げた。どうして自分がされて嫌だったことを、人に言うのかと。

穏やかな声なのに、一言ずつが正確に急所を突いていく。

叔父の顔がこわばった。何か言い返そうと口を開きかけたものの、声にならない。盃を持つ手が宙で止まり、やがて視線が泳ぎはじめた。さっきまでの威勢のよさは、どこかへ消えていた。

逃げ場をなくした叔父は、ばつが悪そうに黙り込んだ。代わりに、まわりの親族が次々と声を上げた。

「確かに、その通りだ」

「今は価値観も変わったからね」

うなずく顔が座敷に広がり、形勢は完全に入れ替わった。

叔父はそれきり盃に目を落とし、独身の話題を二度と口にしなかった。気まずそうに小さくなった姿を見て、私は内心ほっとしていた。

会のあとで従妹に礼を伝えると、彼女はあっさり笑った。

「理不尽なことを言われてるのを、見ていられなかっただけ」

大層なことをしたつもりはない、という口ぶりだった。けれど、誰も止められなかったあの場を変えたのは、まぎれもなく彼女の一言だ。

祖母の祝いの席を守ってくれたのは、いちばん物静かな従妹だった。気まずそうに小さくなっていったあの日の叔父の横顔は、今も忘れられない。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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