「私たちを見下してるんだよ」と陰口を言うママ友→私が陰口に参加せず、席を立ったワケ
同意を迫られた食卓
ご近所で仲良くしているママ友は、全部で5人。その夜は3人がうちに集まり、鍋を囲んでいた。
話題は、たまたまその場にいない2人のことに移った。声をひそめて切り出したのは、いちばん口の達者なママだった。
「潔癖症ぶって、自分の家では絶対遊ばせないし。私たちを見下してるんだよ」
もうひとりも深くうなずき、そして私の顔を覗き込んだ。
「ねえ、あなたもそう思うでしょ?」
同意を、はっきり求められていた。ここでうなずけば仲間。否定すれば、次に陰口を言われるのは、きっと私になる。
確かに、相手のママに思うところがまったくないわけではなかった。でも、いない人を裁く会話に名前を貸した瞬間、自分も同じことをやる人間になってしまう。
一瞬迷って、それでも私は箸を置いた。
「私はパスで」
「えっ」と、二人の声が重なった。
「いない人の話には、入らないことにしてるの。飲み物、取ってくるね」
角を立てたいわけではない。だから笑顔のまま、私はその話題からそっと席を立った。同調しないことが、自分を守る唯一の方法だと思ったから。
背中で、二人が顔を見合わせる気配がした。けれど、それ以上は追ってこなかった。
陰口は内側へ向かった
その日以来、私はこのグループと、付かず離れずの距離を保つことにした。誘いには時々応じる。でも悪口が始まれば、必ず別の用事を作ってその輪から離れた。
不思議なもので、私という相槌役がいなくなると、陰口は失速する。行き場をなくした不満は、やがてグループの内側で渦を巻き始めた。
「この前あの子、私のことこう言ってたんだって」
誰かを下げて結びついた関係は、もろい。同じやり方で、今度は仲間同士が互いを値踏みし、傷つけ合うようになった。
最初に顔色を変えたのは、あの夜いちばん口の達者だったママだった。
自分が陰で何を言われていたかを知って、目に見えて口数が減った。
続いて、二人がそれぞれの言い分を持ち出してぶつかり、もう一人は気まずさにどちらにも近寄らなくなった。
仲良し5人組は、内側からほどけていった。
3か月後、あれほど仲が良いと評判だった5人組は、互いの陰口が本人たちの耳に入り、あっけなく崩れた。
すれ違っても会釈すらしなくなり、集まりは自然消滅した。
しばらくして、当時いちばん勢いよく悪口を言っていたママが、ばつの悪そうな顔で寄ってきた。
「結局、何も言わなかったのはあなただけだったね」
「言いたいことが、なかっただけ」
私は静かにそう答えた。あの夜、輪に乗らなかった選択だけが、私を最後まで巻き込まれずに済ませてくれた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














