「一晩中、布を叩く音が止まない」深夜の庭で謎の騒音を出す隣人→やめてと頼んだ後に始まった別の異変
眠れない夜に響く、布を叩く音
その物音に悩まされるようになったのは、この家に住み始めてしばらく経った頃でした。夜が更けると、隣の庭から、規則正しく何かを叩く音が響いてくるのです。
布を、地面に打ちつけるような音。
バサッ、バサッと、それは深夜になっても止みませんでした。
「一晩中、布を叩く音が止まない」
夫にそう漏らしても、はじめは半信半疑の様子でした。けれど何日か経つうちに、家族もその異様さに気づいていったのです。
そっと窓の外を見ると、暗い庭に隣家の男性が立っていました。手にした布とビニール袋を、物干し竿や地面に、延々と打ちつけているのでした。
その姿には、ためらいも疲れも見えませんでした。ただ黙々と、決められた動作を繰り返すだけ。声をかけていいものかどうか、私には最後まで分かりませんでした。
追い詰められていく夜
その音は、来る日も来る日も続きました。時間もリズムも、まるで判で押したように同じだったのです。
何のためなのか、いくら考えても分かりません。埃を払うにしては長すぎるし、虫を追うにしては執拗すぎる。ただ、叩く。それだけが、毎晩繰り返されました。
一度、こっそり時間を計ってみたことがあります。音は一時間近くも続き、始まる時刻も終わる時刻も、日によってほとんどずれることがありませんでした。
眠れない夜が重なり、私は日に日にすり減っていきました。昼間も、あの音が耳の奥で鳴っている気がして、家事にも集中できません。
夜になると、また始まるのではないかと身構えてしまう。音が止んでいる時間さえ、次を待つ心細さでいっぱいでした。
頼んだ後に、変わったもの
このままでは自分が壊れてしまう。私は意を決して、手紙を書くことにしました。
夜の物音に困っている、どうか控えてほしいと、感情的にならないよう言葉を選びました。
朝、隣家のポストにその手紙を入れました。
数時間後には、手紙は抜き取られていて、読まれたことは確かでした。
抜き取られた手紙のことを思うと、かえって落ち着かない気持ちになりました。読んだうえで、あの人は何を思ったのか。それすら、確かめるすべはありませんでした。
その夜、布を叩く音は消えたのです。ようやく静かな夜が戻ると、心から思いました。
けれど、それは終わりではありませんでした。数日後、家の中から掃除機をかける音が、毎日、長い時間響くようになったのです。朝も、夜も。
頼めば、音が別の音に置き換わるだけ。理由の分からないその行動は、少しも止まってはいませんでした。私は今も、隣から届く音に、そっと耳をふさいでいます。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














