「深夜に音なんか出してないからな」町内会の集まりで否定する住人。だが、私が出したスマホで形勢逆転
騒音トラブルで開かれた寄り合い
町内会の集まりが急きょ持たれたのは、深夜の騒音や路上駐車といったトラブルへの苦情が、あちこちから上がっていたためだった。
私自身、隣家から毎晩響く大音量の物音に眠りを妨げられ、ほとほと参っていた一人だ。
物音は決まって日付が変わる頃に始まった。壁を伝って響く重低音で、寝入りかけた体が何度も揺り起こされる。
翌朝の仕事に差し支えると、やんわり伝えに行ったこともあった。
だが相手は「気のせいじゃないの」と取り合わず、その晩もまた同じ音が続いた。
集会所の窓を閉め、誰が何に困っているかを順に話し合っていた最中のことだった。
噂の当人が血相を変えて戸を開け、部屋に踏み込んできた。自分のことが話されていると、どこかで気づいたらしい。
「深夜に音なんか出してないからな」
彼はそう吐き捨て、証拠もないのに人を悪者にするのか、と気色ばんだ。
集まった誰もが気まずそうに目を伏せ、部屋の空気が重く沈みこんでいく。
30日分の録音を再生して
私は黙って、ポケットからスマートフォンを取り出した。
毎晩の物音を、日付と時刻を口に出しながら録りためてきたものだ。
画面に並ぶ一覧を彼に見せながら、私は静かに言った。
「毎晩の騒音、30日分録音済みです」
その一言で、彼の表情が固まった。
試しに一つ再生すると、深夜零時を回った時刻を告げる私の声と、壁越しにこもる重い物音が、はっきりと流れ出した。
日付ごとにファイルが分けられ、何時から何分続いたかまで、私は淡々と読み上げていった。
「な、なんで勝手に…」
声を荒らげかけて、彼は言葉に詰まった。
周りを見回しても、味方は一人もいない。会長が静かに口を開いた。
「これだけ記録があれば、もうとぼけられませんよ」
すると、それまで黙っていた住民たちが次々に「うちも眠れなかった」と声を上げはじめた。
彼はうなだれ、震える声で「…以後、気をつけます」とだけ絞り出す。あれほどの勢いは、すっかり影をひそめていた。
その夜を境に、隣から響いていた深夜の物音は嘘のようにやんだ。廊下で顔を合わせても、彼は決まって目をそらし、逃げるように早足で去っていく。静かな夜が戻った寝室で、私はやっと肩の力を抜くことができた。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、50代・男性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














