「重い箱を怪我人に運ばせる?」肩を痛めた私に箱を押し付ける同僚→見かねた先輩が声を上げた瞬間
重い物は持てないのに
肩を痛めて、腕を上げるのもやっとの毎日だった。
前の職場のみんなは「無理しないで」と気づかってくれて、重い荷物のときはいつも誰かが代わってくれた。ありがたくて、早く治さなきゃと焦る日々だった。
利き腕がうまく使えないと、ペン一本持つのも一苦労で、周りの支えが本当にありがたかった。
そんな職場に一人だけ、自分のことしか見えていない同僚がいた。
体調を理由に休みがちで、そのたび周りがフォローしていたのに、当人は感謝するどころか、いつも仕事を人へ押し付けていた。
回ってきた段ボール
備品の入れ替えで、重い段ボールをいくつも運ぶ作業があった日。
手の空いた人から順に運んでいくなか、あの同僚は、なぜか私の目の前に大きな箱を置いた。
「これ、あなたの分ね」
私の肩のことは、皆と同じように知っているはずだった。
「重い物は持てないって、知ってるよね」
そう返しても、同僚は聞こえないふりで別の作業に移ろうとした。まるで、私が困る顔を楽しんでいるようだった。
断ったはずの箱は、そのまま私の足元に置き去りにされていた。
先輩が動いた
そのやり取りを、隣の席の先輩がじっと見ていた。先輩はつかつかと歩み寄り、同僚に向かってはっきりと言った。
「重い箱を怪我人に運ばせる?」
フロアの空気が張りつめた。
「彼女が痛めてるの、あなたも知ってるでしょう。この箱は私が運ぶ」
そう言って、先輩は軽々と箱を抱え上げた。
同僚の顔がこわばった。何か言い返そうとして、けれど周りの視線に気づき、口をつぐむ。ばつが悪そうに目をそらすのが精一杯だった。
それをきっかけに、ほかの人たちも「私も手伝う」と集まってきた。困っている人へ平気で無茶を言う同僚の本性は、その場の全員に伝わっていた。
「あなたは座ってていいよ」
先輩の一言に、張りつめていた肩の力がやっと抜けた。ちゃんと見てくれている人がいる。
無理を通そうとする人より、見て見ぬふりをしない人の方がずっと多い。それだけで、痛みも少し和らいだ朝だった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














