tend Editorial Team

2026.07.31(Fri)

「向かいの壁にだけ、当てなきゃいい」寝室を打つボールの音。だが、こちらも注意書きを貼った日から態度が一変

「向かいの壁にだけ、当てなきゃいい」寝室を打つボールの音。だが、こちらも注意書きを貼った日から態度が一変

向かいにだけ気を配る親

隣家の子どもたちが、庭でドッジボールをして遊ぶ。

声が弾んで、いかにも楽しそうだ。

そこまではいい。問題は、はずれたボールが決まってうちの寝室の壁を打つことだった。

ドン、ドン、と重い音が壁の内側まで伝わってくる。

乳児を寝かしつけた直後にそれをやられると、せっかく寝た我が子がびくりと起きて泣き出す。

一日のうちで、その音を何度聞かされたか分からない。

それでも、向かいの御宅の塀を見て、私はなんとなく我慢していた。

そこには「監視カメラ設置中・フェンスにボールを当てないこと」と大きく張り紙がしてある。

カメラがあるお宅には、さすがに強く言えないのだろうと。

ところが親御さんの動きを見ていると、そういう遠慮ではないと分かってきた。

子どもが向かいへボールを飛ばしそうになると、すかさずそちら側に回り込んで止める。ある日、庭から親御さんが子どもへこう言うのが、はっきり聞こえてきた。

「向かいの壁にだけ、当てなきゃいい」

張り紙のない我が家は、はなから眼中にないのだ。

同じ壁を打たれても、片方は必死に守られ、片方は放置される。その線引きが、日ごとに悔しくなっていった。

うちも紙を貼った日

ならばと、私も同じ手を借りることにした。「録画中・この壁にボールを当てないでください」と書いた紙を、寝室側のフェンスに一枚貼っただけだ。

効果はてきめんで、その日からボールの音はぴたりとやんだ。

けれど、しばらくして親御さんが不服そうにやってきた。「たかがボールでしょう」と言いたげな顔で。

私は、ここ数日ためていた録音を再生した。

壁を打つ鈍い音が、途切れることなく続く。日付と時刻の入ったその記録を前に、相手の表情がみるみる変わっていった。

「向かいさんにはあんなに気をつけていたのに、うちには一度も声をかけてくれませんでしたよね」

そう静かに伝えると、親御さんはしばらく黙り込んだ。

壁に残ったいくつもの丸い跡に目を落とし、ようやく小さな声を絞り出した。

「…ごめんなさい」

後日、庭にはボール止めのネットが張られ、子どもたちの遊ぶ向きも変わった。

張り紙のあるなしで人を区別していた親が、初めてこちらへ頭を下げた。守られる家と、我慢させられる家の差が、ようやく消えた瞬間だった。

※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.11.03(Tue)

「温めるに決まってるだろ」弁当の確認に毎回怒る常連客。だが、店長が注意した日から店に姿を見せなくなった
tend Editorial Team

NEW 2026.11.03(Tue)

「早い者勝ちでしょ」旅行先のフードコートで席を横取りされた私たち。だが、隣のテーブルにいた母親が声をかけてくれた
tend Editorial Team

NEW 2026.11.03(Tue)

「えっ、あれだけ飲むんですか」ファミレスで男性客を見つめる義母。グラスに注いだものを見て唖然
tend Editorial Team

RECOMMEND

2025.10.01(Wed)

「最高のアイデア!」とまで言われた、無印良品の『フォトフレームにもなるポストカードケース』。ここまで絶賛される理由とは?
tend Editorial Team

2026.10.22(Thu)

「ここで開けてもいいですか?」プレゼントを丁寧に包んだ私。だが、お客様がその場でリボンをほどいた理由
tend Editorial Team

2026.02.09(Mon)

「なんで時間通りに来ねーんだよ!」とモラハラばかりの彼→別れた後に彼が送ってきた信じられないメッセージとは
tend Editorial Team