「負けたやつが買うからな」コンビニで騒いでいた高校生。だが、店を出る前に残した一言とは
夜の店内に、大きな声が響いた
若いころ、僕はコンビニで夜勤のアルバイトをしていました。夜遅くなると客足も落ち着き、店内には冷蔵ケースの音だけが聞こえる時間もあります。
その日、数人の高校生が店に入ってきました。部活帰りなのか、大きなバッグを肩にかけています。最初は普通に商品を見ていたのですが、くじの棚の前に集まると、一気ににぎやかになりました。
「負けたやつが買うからな。いくぞ、じゃんけん!」
声が店内に響き、結果が出るたびに「あー!」と笑い声が上がります。本人たちは楽しそうでしたが、近くで商品を見ていたお客さんが少し離れていくのが見えました。
放っておくわけにもいかず、僕はレジを出て彼らのところへ向かいました。
「楽しそうなところ悪いけど、もう少し声だけ落としてもらえる?」
できるだけ普通の調子で言うと、いちばん近くにいた子が「あ、すみません」とすぐに頭を下げました。ほかの子たちも周りを見回し、少し気まずそうな顔をしています。
盛り上がっているうちに、自分たちの声の大きさに気づかなくなっていたようでした。
今度は、聞こえるか聞こえないかの声で
僕がレジへ戻ると、彼らはまた輪になりました。
ただ、今度はさっきまでとはまるで違います。
「じゃあ…いくぞ」
聞こえるか聞こえないかくらいの声で合図をして、手だけを勢いよく出しています。負けた子が肩を落としてくじを引くと、みんなが結果をのぞき込みました。
「……はずれ」
小さな声が漏れ、何人かが笑いそうになって口元を押さえています。さっきまで少し迷惑そうにしていた近くのお客さんも、その様子を見てわずかに笑っていました。
その後も彼らはくじを引きましたが、大声を出すことはありませんでした。買い物を終えると、何人かがレジで「ありがとうございました」と言って店を出ていきます。
最後に残った一人が、自動ドアの前で一度こちらを振り返りました。
「さっきは騒いですみませんでした」
「大丈夫。気をつけて帰ってね」
そう返すと、その子は軽く頭を下げて仲間を追いかけていきました。
店内はまた静かになりました。注意したときは少し身構えましたが、こちらが強い言い方をしなくても、ちゃんと伝わることもあるのだと感じた夜でした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














