「そんな話なら援助はしない」私の姓を名乗ると決めた夫と認めない義父。向き合った夫が伝えた気持ちとは
認めないと言われた席で
結婚が決まったとき、義両親はとても喜んでくれていました。式や新居の話も向こうからしてくれて、「費用も少し援助するつもりだから」と言ってくれていたのです。
ところが、次に義実家を訪ねた日のことでした。
夫が少し緊張した様子で、義両親に話を切り出しました。
「結婚したら、僕が彼女の姓を名乗ろうと思ってる」
その瞬間、義母の手が止まりました。義父もすぐには何も言わず、夫の顔をじっと見ています。
「……お前が?向こうの姓になるってことか?」
「うん。二人で話して、そう決めた」
夫が答えると、義父は明らかに納得できないという顔をしました。
「いや、ちょっと待てよ。そんな話、聞いてないぞ」
「今、ちゃんと話そうと思って来たんだよ」
「普通は女性が男性の姓を名乗るものだろう。わざわざお前が変える必要があるのか?」
夫はすぐには答えず、少し間を置いてから言いました。
「僕たちは、これでいいと思ってる」
すると義父はため息をつきました。
「……好きにすればいい。だけど、こっちは簡単に『そうか』とは言えないぞ」
さらに、式や新居のために用意していた援助についても、「そんな話なら出すつもりはない」と言われました。
私は膝の上で手を重ねたまま、何も言えませんでした。私の姓を選ぶことが、まるで私が夫に頼んだことのように受け取られている気がして、居心地の悪さだけが増していきます。
すると隣にいた夫が、少し身を乗り出しました。
「父さん、援助はいらないよ」
義父が顔を上げます。
「お前、何を意地になってるんだ」
「意地じゃない。援助してもらうために結婚するわけじゃないから」
夫の声は穏やかでしたが、はっきりしていました。
「それに、決めたのは僕だから。彼女に何か言うのはやめてほしい」
義父は眉をひそめました。
「俺は別に、この人を責めてるわけじゃない」
「うん。でも、そう聞こえるから」
しばらく沈黙が続きました。
義父はまだ何か言いたそうでしたが、夫も目をそらしませんでした。
「援助はいりません。この話はもうやめてください」
最後は、夫がそう区切りました。
すると、それまで黙っていた義母が小さく息をつきました。
「……今日はもう、そのくらいにしましょう」
義父もすぐには納得した様子ではありませんでした。ただ、「分かった」とも「認める」とも言わず、そのまま湯呑みに手を伸ばしました。
その日は、それ以上その話をすることなく帰りました。
自分たちで用意した、小さな式と新しい暮らし
その後、私たちは予定どおり結婚し、夫は私の姓を名乗りました。
義両親からの援助は受けず、式場も新居も自分たちで探しました。予算を見ながら、「これはなくてもいいね」「ここは残したいね」と何度も相談しました。
招いたのは近しい人だけ。新居も、二人で暮らすには十分な小さな部屋でした。
私の両親に事情を話したときは、少し心配そうな顔をされました。
それでも最後には、「二人で決めたなら、それが一番だよ」と笑ってくれました。
当初思い描いていた結婚の形とは少し違いました。それでも、自分たちで決めたことだから、不思議と後悔はありませんでした。
義両親とも、関係そのものが切れたわけではありません。今も連絡は取っていますし、夫が実家に電話をしている途中で、「ちょっと代わる?」と私に受話器を渡すこともあります。
あの日のことを、こちらから蒸し返したこともありません。
ただ、ときどき思い出します。
あの席で私は何も言えませんでした。そんな私の隣で、夫が「援助はいらない」「彼女に言うのはやめてほしい」と、自分の言葉で線を引いてくれたことを。
あのとき夫が先にそう言ってくれたからこそ、私たちは自分たちの結婚を、自分たちで選べたのだと思っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














