「ママ、あの子足ついてないよ」ホテルのプールで遊ぶ子どもたち。だが、大人が私しかいないことに気づいた瞬間
水の中にいた大人は、私だけだった
家族旅行の二日目、ホテルのプールに娘と入った。夫は部屋で昼寝をしていて、浅いほうでは先に来ていた子どもたちがビーチボールで遊んでいた。
娘はしばらくその様子を見てから、一人の女の子に声をかけた。
「一緒に遊んでもいい?」
「いいよ。こっち入って」
娘はすぐに輪の中へ入った。先にいたのは4人で、いちばん大きそうな女の子が、小さい子の浮き輪をときどき押してあげている。
私は少し離れたところから娘たちを見ていたのだが、ふと周囲を見回して違和感を覚えた。
プールサイドに保護者らしい人がいない。水の中にいる大人も、私だけだった。
近くまで来た女の子に、私は聞いてみた。
「ねえ、お父さんかお母さんはどこにいるの?」
女の子はプールの向こうを指さした。
「あっち。先に入ってなさいって言われた」
指の先にはビーチがあり、パラソルの下に大人が二人寝そべっていた。
振り返っても、親はプールへ来なかった
最初は、すぐに様子を見に来るのだろうと思った。
ところが数分経っても、二人がこちらへ来る気配はない。
遊んでいるうちに、子どもたちは少しずつ深いほうへ移っていった。そのとき、娘が私の腕を引っ張った。
「ママ、あの子、足ついてないよ」
見ると、小さい子の足が底から離れていた。浮き輪には入っているものの、私は思わず声をかけた。
「みんな、こっちで遊ぼう。そこから先は深いからね」
「はーい」
子どもたちは素直に浅いほうへ戻ってきた。大きい女の子も、小さい子の浮き輪を押してこちらへ連れてくる。
それからは、娘だけを見ているわけにもいかなかった。
先にいた子供と娘。遊んでいる途中で誰かが見えなくなるたび、私は無意識に人数を数えていた。
「走らないでね。濡れてるから滑るよ」
「わかったー」
途中で何度かビーチのほうを確認した。一度目は二人とも寝そべったまま。次に見たときは片方が飲み物を取りに起きたが、またパラソルの下へ戻っていった。
もう一度見ても、プールへ来る様子はなかった。
ドリンクを運ぶスタッフがプールサイドを通っていたものの、立ち止まって子どもたちを見る様子はない。
私はだんだん、「私が上がったら、この子たちはどうするんだろう」と考えるようになっていた。
「もう上がるの?」と聞かれて
三十分ほどすると、娘の唇が少し紫色になってきた。
「もう上がろうか。寒くなってきたでしょ」
「うん」
娘をプールから出してタオルを取ろうとすると、さっきの女の子がこちらへ来た。
「もう帰るの?」
「ごめんね。うちの子、寒くなっちゃったから」
女の子は少し残念そうな顔をしたが、すぐにうなずいた。
「そっか。じゃあ、また遊ぼうね」
そう言って、小さい子の浮き輪のところへ戻っていった。
ロビーへ続く階段を上りながら、私は最後にもう一度だけ振り返った。
ビーチのパラソルの下には、さっきの大人たちがまだいる。
そしてプールの中には、もう大人の姿は一人もなかった。
娘をプールから上げたあと、私は近くを通ったスタッフに声をかけました。
「すみません。あちらの子どもたちなんですが、今は大人が誰もそばにいないようで」
スタッフは子どもたちのほうを確認し、「分かりました。こちらで確認します」と答えました。
その言葉を聞いてから、私は娘とロビーへ続く階段を上りました。
最後に振り返ると、子どもたちはまだ楽しそうに遊んでいました。
親が近くにいたとしても、水の中では何が起こるか分かりません。あの日のことを思い出すと、子どもを水辺で遊ばせるときは、すぐそばで見ていることの大切さを改めて感じます。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














