「俺、見てるつもりだった」家のお金を管理していた夫。だが、夫婦で通帳を開いて分かったこと
年末の引き出しから出てきた明細
十二月の休みの日に居間の引き出しを片づけていたら、たたまれた明細の束が奥から出てきた。
家のお金は夫が管理していて、私はその引き出しをほとんど開けたことがなかった。
1年ぶんの明細が、月の順もばらばらのまま入っていた。
秋に一度、支払いのお金が足りなくなったとは聞いていた。
義父に立て替えてもらったそうで、あとから聞いた金額は20万円だった。
ただ、どうしてそこまで足りなくなったのかは、夫自身もうまく説明できずにいた。
風呂から出てきた夫を呼び、私は明細をテーブルに広げた。
「ねえ、これ、一回ちゃんと一緒に見ない?」
夫は明細の束を見て、少し困ったような顔をした。
「今から?だいたいは分かってるつもりだけど……」
「その“だいたい”を、一回ちゃんと確かめたいの。責めたいわけじゃないよ。私も今まで任せきりだったし」
夫は少し黙ってから、椅子を引いた。
「…分かった。じゃあ最初から見ようか」
1か月ぶんずつ横に並べ、通帳の記帳と突き合わせていった。
夫が電卓を打ち、私が金額を読み上げる。半年ぶんを過ぎたあたりで、夫の手が止まった。
「あれ…これ、大きい引き落としが年に2回あるんだ」
「そうみたい。私も今日初めてちゃんと見た」
夫は通帳と明細を何度か見比べた。
「見てたつもりだったんだけどな。一つずつ払えてるかだけ見て、年間でいくら出てるかまでは考えてなかった」
「私も全部任せてたから、人のことは言えないよ」
夫は少し気まずそうに笑った。
「でも、20万円足りなくなってから気づくのはまずかったな」
電卓を打つ係と、めくる係
1年ぶんの金額を足してみると、夫が思っていた額よりかなり多かった。秋に足りなくなったのも、大きな引き落としがある月だったことが分かった。
夫は明細を月ごとにそろえながら、小さく息を吐いた。
「そりゃ足りなくなるよな。毎月だいたい同じくらいだと思い込んでた」
私は責めるより先に、これからのことを決めたほうがいいと思った。
「来月から、2人で見よう」
「うん。そのほうがいい」
明細を片づけながら、私はもう一度念を押した。
「一人で抱えなくていいからね。これからは2人で確認しよう」
「分かった。俺もそのほうが助かる」
寝る前、義父へ返す金額を書いた紙をしまうときにも、私はつい口にした。
「じゃあ、来月からは本当に2人でね」
夫は苦笑した。
「分かってるって。今日それ、三回目だよ」
「だって、また引き出しの奥に入ったら困るから」
「それは俺も困る」
そこでようやく、二人で少し笑った。
その年の暮れから、月末に二人で通帳を出す日ができた。夫が電卓を持ち、私が明細をめくる。義父に立て替えてもらった20万円も、毎月いくら返すかを二人で決め、紙に書いて残した。
年が明けて最初の月末、先に通帳を出したのは夫だった。
「今日、見る日だよね」
「覚えてたんだ」
「さすがに覚えてるよ。次の大きい引き落としの分も、少しずつ残しておこうか」
「うん。それも書いておこう」
明細の束は、それから引き出しの奥ではなく手前に置かれるようになった。月末になると、私が探しにいくより先に夫がテーブルへ出している。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














