「うちの子を無視するの、やめてもらえる?」庭まで来た向かいの母親。だが、子どもたちに話を聞いて分かった勘違い
庭まで来た向かいの奥さん
よく晴れた休日、ママ友が子どもを連れて遊びに来た。
うちの子とママ友の子は同じ学年で、二人は庭の砂場で夢中になってトンネルを掘っていた。
私が門の近くで見守っていると、向かいの家に車が止まった。
降りてきたのは、普段は登校班の集合場所で顔を合わせれば、あいさつをする程度の奥さんだった。
ところが、その日は車から降りるなり、まっすぐこちらへ歩いてきた。
「ちょっといい?」
いつもと違う硬い声に、私は思わずママ友と顔を見合わせた。
奥さんは砂場の二人を見ると、少し強い口調で言った。
「うちの子、この前の帰りに登校班の子に置いていかれたって泣いてたの。うちの子を無視するの、やめてもらえる?」
二人は驚いたように顔を上げた。
「え?私たちじゃないよ」
「何か勘違いしてませんか?」
すると奥さんは眉を寄せた。
「でも、本人がそう言ってるのよ。泣いて帰ってきたんだから、こっちだって心配するでしょう?」
私も何か言おうとしたが、ママ友が先に口を開いた。
「それは心配になりますよね。でも、子どもたちの話と少し違うみたいなので、一度ちゃんと聞いてみます」
奥さんは少し黙ったあと、「お願いします」と言って家へ戻っていった。
二人に別々に話を聞いた
家に入ってから、私とママ友は子どもたちに一人ずつ話を聞いた。
「本当に何もなかった?」
「うん。登校班では話すけど、帰りは一緒じゃなかったよ」
ママ友の子も、ほぼ同じことを話した。
二人とも、向かいの家の子とは学年が違い、普段から一緒に下校しているわけではなかった。
ママ友は聞いた内容を忘れないよう、手帳に短く書き留めた。
「こっちも決めつけたくないし、聞いたことをそのまま伝えてみようか」
私も頷いた。
思い込んでいたのは母親のほうだった
後日、私はママ友と一緒に向かいの家を訪ねた。
ママ友は手帳を見ながら、落ち着いた声で話した。
「二人に別々に聞いたんですけど、その日は一緒に帰っていないと言っています。念のため、娘さんにも誰のことだったのか、もう一度聞いてもらえませんか?」
奥さんは少し驚いた顔をした。
「…私、あの二人だと思い込んでたかもしれない」
娘さんからは「登校班の子に置いていかれた」とだけ聞いていたという。ちょうど二人が庭で遊んでいるのを見て、この二人のことだと思ってしまったそうだ。
その日の夕方、奥さんがもう一度訪ねてきた。
「娘に聞き直したら、別の子たちのことでした。急に責めるようなことを言って、本当にごめんなさい」
奥さんは申し訳なさそうに頭を下げた。
それ以来、少し気まずさは残ったものの、道で会えば以前と同じようにあいさつを交わしている。
子どもが泣いて帰ってくれば、親として心配になる気持ちは分かる。それでも、相手を責める前に「誰が、いつ、何をしたのか」を確かめることは大切なのだと感じた出来事だった。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














