「セットなんだから、ちゃんと確認してよ」完食後も店員への小言が続く客。だが、他の客の一言で状況が一変
食べ終えた三人が、レジで立ち止まった
まだ高校生だった頃、私は牛丼チェーン店でアルバイトをしていました。昼どきの店内は混み合っていて、私は料理を運んだり、会計をしたりと慌ただしく動いていました。
その日、男性三人組が来店し、そろって同じ定食を注文しました。三人は楽しそうに話しながら食事をしていて、特に何か気にしている様子はありません。
「ここの定食、ちょうどいいな」
そんな声も聞こえ、やがて三人ともきれいに食べ終えました。
ところが、三人がレジへ来たときです。ひとりが伝票を見ながら、ふと思い出したように言いました。
「そういえば、海苔、ついてなかったよな?」
言われて確認すると、本来なら定食に添えるはずの焼き海苔を、私がつけ忘れていました。
「申し訳ございません。こちらの確認不足です」
すぐに謝りましたが、男性たちの不満はなかなか収まりませんでした。
「セットなんだから、ちゃんと確認してよ」
「食べ終わってから気づいたけど、こういうの困るよね」
私にミスがあったのは事実なので、何度も頭を下げました。それでも同じような言葉がしばらく続き、後ろには会計を待つお客さんも並び始めます。
自分が悪いとは分かっていても、どう対応すれば話を終えられるのか分からず、私は困っていました。
近くで食事をしていた男性が声をかけた
すると、近くのカウンター席で食事をしていた中年の男性が、こちらを振り返りました。
三人の食事中から同じ場所にいたお客さんです。少し迷うような間を置いたあと、静かな声で言いました。
「店員さんも謝ってるし、もうそのくらいでいいんじゃないですか」
三人は一瞬黙りました。
男性は続けて責めることもなく、それだけ言うと自分の席へ戻りました。
三人はまだ少し不満そうでしたが、それ以上は何も言わず、会計を済ませて店を出ていきました。
私は改めて、中年の男性に頭を下げました。
「ありがとうございました」
すると男性は、「次から気をつければいいよ」と短く返してくれました。
海苔をつけ忘れたことは、間違いなく私のミスです。ただ、何度謝っても責める言葉が続き、どうしたらいいか分からなくなっていた私にとって、あの一言はとてもありがたいものでした。
それ以来、忙しい時間ほど提供するものを一つずつ確認するようになりました。同時に、誰かが困っている場面で必要以上に責めず、静かに声をかけることの大切さも覚えています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














