「お前の親に詫びを入れさせろ」名家の血筋だと偉ぶる祖父母。だが、親戚が暴いた嘘に思わず絶句
名家を騙る祖父母
子どもの頃から、祖父母の家は緊張の場だった。
二人は自分たちが一族でいちばん偉いと信じて疑わず、孫にも厳しい作法を課した。
「正座で三つ指をついて挨拶しろ」
正月に顔を出すたび、祖母のその号令が飛ぶ。
畳に手をつき、額が付くほど頭を下げるまで、二人は満足しなかった。
「うちは名家の血筋なのよ。そこらの家とは格が違うの」
祖父母は、自分たちで調べたという家系図を客間に飾っていた。
由緒ある一族の末裔なのだと、集まった親族に何度も見せびらかす。
「この家に生まれたことを、ありがたく思いなさいね」
祖母は孫を見下ろすたびに、そう念を押した。
逆らう者はいない。親戚たちも、二人の機嫌をうかがうように相槌を打つばかりだった。
私が少しでも口答えをすると、祖父は決まってこう言った。
「親のしつけがなっとらん。お前の親に詫びを入れさせろ」
母はそのたびに小さくなって謝る。
名家という言葉の重みだけで、この家は回っていた。
暴かれた家系図
ある年の集まりに、古い家の記録に明るい親戚の伯父が加わった。
祖父母がいつものように家系図を広げ、名家の血筋だと胸を張った、そのときだった。
「失礼だが、これはご自分で書き足したものだろう」
伯父は静かにそう切り出し、本家に伝わる正式な系図の写しを取り出した。
「あなた方の家は本家でも何でもない。ただの分家だ。名家の末裔などという記録は、どこにも残っていない」
客間が、しんと静まり返った。誰も口を挟めない。
祖母の顔から、みるみる血の気が引いていく。
「そ、そんなでたらめを」祖父が声を荒らげようとしたが、伯父が並べた古い書きつけの前では言葉が続かなかった。
「作り話で詫びまで入れさせていたのか」
その一言に、二人はそろって絶句した。
客間に集まった親族から、抑えたざわめきが広がる。
「どうりで話が大きすぎると思った」と、従姉がそっとつぶやいた。
祖父は震える手で古文書を裏返し、何か言い返そうと口を動かした。
けれど、声にならない。祖母は助けを求めるように周りを見回したが、目を合わせてくれる者は一人もいなかった。
私は膝を崩し、二人にまっすぐ向き直った。
「これからは、誰にも頭を下げさせないでくださいね」
祖父母はうつむいたまま、ひと言も返せない。飾られていた家系図は、その日のうちに客間から外された。次の正月、私たちに三つ指をつけと命じる声は、もうどこにもなかった。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、40代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














