「ちょっと、まだ終わらないの?」夕方のスーパーで怒鳴り続ける男性。だが、店長が取った対応
列の途中で数えた時間
休日の夕方、近所のスーパーは買い物客でいっぱいだった。どのレジにも人が並び、私も冷凍食品の入ったかごを持って列の後ろについた。
しばらくすると、数人前のレジから男性の大きな声が響いた。
「ちょっと、まだ終わらないの?さっきから全然進んでないじゃないか」
50代くらいの男性が、若いアルバイトの女性店員さんに声を荒らげていた。
私が並んでからだけでも、「遅いよ」「もう少し早くできないの?」と二度、不満をぶつけている。
店員さんは緊張した表情で頭を下げた。
「申し訳ありません。もう少々お待ちください」
「もう少々って、こっちはずっと待ってるんだよ。責任者の人、呼んでくれる?」
ほどなくして店長がやってきた。
「お待たせして申し訳ございません。責任者の私がお話を伺います」
「この人、新人なの?こんなに時間かかってたら困るよ。ちゃんと教えてるの?」
男性は今度は店長に向かって話し始めた。
その間も店員さんは、残っていた商品を一つずつ読み取っていた。
私の後ろに並んでいた男性客が腕時計を見て、小さく息を吐いた。
「もう10分くらい止まってるな…」
そして誰に言うでもなく、「早く進んでくれないかな」とつぶやいた。
私のかごに入れた冷凍食品の袋にも、うっすら水滴がつき始めている。
それでも、怒っている男性に直接声をかける人はいなかった。
若い店員さんは泣きそうな顔をしながらも、卵のパックを両手で持ち上げ、ほかの商品につぶされないよう、かごの一番上に置いていた。
少なくとも私には、仕事を雑にしているようには見えなかった。
止まっていた列を動かした店長
そのとき、私のすぐ前に並んでいた70代くらいの女性が、店長に声をかけた。
「あの、私もさっきから並んでますけど、この店員さん、ちゃんと丁寧にやってましたよ」
店員さんが驚いたように顔を上げる。
女性は続けた。
「私は、急いで雑にされるより、そのほうが安心ですけどね」
「ありがとうございます」
店長が頭を下げると、列にいた何人かも小さくうなずいていた。
男性は後ろを振り返ったあと、少し声を落とした。
「いや、でも俺が言ってるのは、店としてどうするんだってことで…」
店長はうなずいた。
「はい。お話は私が伺います。ただ、ほかのお客様もお待ちですので、会計が終わりましたら、こちらでお聞かせいただけますか」
「まだ話はあるんだけど」
「もちろん伺います。こちらでお願いします」
店長は落ち着いた声でそう返すと、近くにいた店員さんへ合図を送り、隣のレジを開けてもらった。
「大変お待たせしました。こちらのレジもご利用ください」
止まっていた列が二つに分かれ、ようやく動き始めた。
後ろにいた男性客も、「やっと進んだ」と小さくつぶやきながら隣の列へ移っていった。
やがて男性の会計も終わった。男性は商品が入ったかごを持ち上げると、先ほどまでより静かな様子で店長と一緒にレジを離れていった。
若い店員さんは、声をかけた女性に小さく頭を下げた。
「ありがとうございます」
「いいのよ。気にしないで」
女性はそう言って、自分のかごをレジ台に置いた。
列が進み、やがて私の番になる。
店員さんは一度息を整えてから、顔を上げた。
「お待たせしました。いらっしゃいませ」
まだ少し緊張しているようには聞こえた。それでも、先ほどより落ち着いた声になっていた。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














