「本社に連絡するぞ、客を馬鹿にしてるのか」ポテトの量に怒った客。はかりの数字を見て、何も言わず店を出た
ほかの客と見比べられたポテト
20年近く前の平日の夕方、私はファストフード店のレジに立っていました。
アルバイトを始めて半年ほどのころで、店内の席は少しずつ埋まり、カウンターにも列ができ始めていました。
50代くらいの男性が、ハンバーガーとポテトのセットを受け取って席のほうへ向かいました。
ところが、席に着く手前で急に振り返り、そのままレジへ戻ってきたのです。男性はポテトの袋をカウンターに置き、私に中を見せました。
袋の上のほうに少し空きがあるのが気になったようです。男性は隣のレジで渡されていたポテトと見比べると、険しい顔になりました。
「これ、ほかの人より少ないだろ」
私は驚きながらも頭を下げました。
「申し訳ありません。新しいものをご用意しましょうか」
すると男性は袋を押さえ、首を横に振りました。
「そういうことじゃない。適当に入れてるんじゃないのか」
声を聞きつけ、厨房の奥から50代くらいの店長が出てきました。
店長が私の横で頭を下げると、男性はさらに声を大きくします。
「本社に連絡するぞ。客を馬鹿にしてるのか」
はかりに出た数字
それから30分近く、男性は同じ不満を繰り返しました。
並んでいたお客さんは気まずそうに視線をそらし、店内の席からこちらを見る人もいます。
私は何度も謝りましたが、男性の怒りはなかなか収まりませんでした。
やがて男性が話すのを止めたところで、店長が静かに口を開きました。
「商品の量には基準があります。よろしければ、今ここで確認してみましょうか」
「いいよ。量ってみろ。足りないから」
店長は揚げ場の横から小さなはかりを持ってきました。そして袋の重さを除いて中身を確認できるようにし、男性のポテトを量りました。
表示を確かめた店長が、男性にも数字が見えるようにはかりを向けます。
「基準の量より、5グラム多いですね」
男性は、しばらく数字を見つめたまま黙っていました。
さらに、男性の親指と人差し指にはポテトの塩が少しついていました。
戻ってくるまでに何本か口にしていたのかもしれません。
店長もそれ以上は何も言いませんでした。
男性は一度こちらを見て、「本社に…」と言いかけましたが、そのまま言葉を止めました。そしてポテトの袋を手にすると、何も言わず店を出ていきました。
自動ドアが閉まると、張りつめていた店内の空気が少しだけ緩んだように感じました。
店長ははかりを片づけながら、私に短く言いました。
「大丈夫。ちゃんと出せてたから」
その一言を聞いて、ようやく私は肩の力を抜くことができました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














