「垂れ耳はランチで私が考えたのよ!」私のうさぎの絵を横取りする先輩。だが、私が開いたファイルを見て頭を下げた
約束を破った先輩
打ち合わせ席で、先輩が私の正体を明かしてしまいます
私はデザイン事務所の経理担当で、入社して3年です。
週末は本名を伏せ、ペンネームで垂れ耳のうさぎの絵を公開しています。
以前から描きためていた作品で、去年の夏から公開を始め、今年はグッズも出ました。
副業は届け出済み。職場で私が作者だと知っているのは、公開前の去年の春、昼休みに絵を見られた先輩デザイナーだけです。
ある日、課長が先輩と私を打ち合わせ席に呼びました。私も同席させてほしいと、先輩が頼んだそうです。
用件は、取引先が私のうさぎを新商品の箱に使いたいという相談でした。作者へのつてを聞かれ、先輩が身を乗り出しました。
「このうさぎの作者は、この人なのよ」
「内緒の約束、でしたよね?」
先輩は、うさぎの垂れ耳は自分の案だと言い出しました
先輩は構わず続けます。
「垂れ耳はランチで私が考えたのよ!」
箱には共同デザインとして自分の名前も入れて、と言うのです。
「そんな話、していません」
あの昼休み、先輩は色がかわいいと言っただけ。けれど絵を見たのは本当で、先輩の話にも信ぴょう性があるように聞こえます。課長も、デザイナー歴15年の先輩の話を信じかけている様子でした。
先輩は去年の春だと言い切り、課長もその話を信じかけました
いつの話かと課長が聞くと、先輩は私を見ました。
「去年の春よ、忘れたの?」
あの昼休みの会話を知るのは2人だけ。言った言わないになれば、経理の私より、ベテランの言葉が通ってしまうかもしれません。私は聞き返すだけでした。
「去年の春、ですね?」
先輩は『そうよ』と笑いました。課長は共同デザインという案をいったん持ち帰り、異論があれば明日の朝に聞くと伝えて席を立ちました。
取引先への返事は、その確認後にすることになりました。
翌朝の打ち合わせ席
翌朝、先輩は箱に自分の名前を入れるよう求めました
その夜は、ほとんど眠れませんでした。
翌朝。課長は共同デザインを前提とした返事を用意していました。あとは内容を確認して送るだけだと言い、先輩は上機嫌でした。
「共同デザインで名前を入れてね」
「先に、これを見てください」
私は、鉛筆で描いた最初の下書きをタブレットで開きました
私はタブレットを置き、ファイルを開きました。鉛筆で描いた垂れ耳のうさぎ。現在公開しているキャラクターと同じ耳の形や表情が、そこには描かれていました。
のぞき込んだ先輩が、得意げに言います。
「ほら、私の案の垂れ耳じゃない」
私は指1本で、画面の隅の作成日を示しました。5年前の秋。3年前に入社して先輩と出会う、その2年も前です。去年の春どころか、知り合う前の絵です。昨夜、昔の下書きが古いパソコンに残っていたことを思い出し、押し入れから取り出して確認したものでした。
「先輩に会う2年前の日付です」
先輩が頭を下げ、私は作者として取引先の話を受けました
日付は変えられる、と言いかけた先輩に続けました。5年前にこの下書きで公募に応募していて、当時の応募作品の控えと、主催者から届いた受付メールも残っています。
私はそのメールと応募作品の控えをタブレットに表示しました。課長が内容を確認すると、先輩は黙って頭を下げました。
「…ごめんなさい」
課長は、秘密にする約束を破り、人の作品を自分の手柄にしようとしたことを注意し、先輩を取引先の件から外しました。そして、作者本人として依頼を受ける意思があるか、私に確認しました。
「このお話、私がお受けします」
今後の利用条件などは、改めて取引先と確認することになりました。また、私が作者であることは、取引先との契約に必要な範囲を除いて、職場ではこの場の3人だけの秘密にすると課長は約束してくれました。
※本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














