「僕にそのボールちょうだい!」公園で息子と遊んでいた私。譲るよう迫る母親が、男の子のひと言で気まずそうにした理由
キャッチボール中に声をかけてきた男の子
小学生の息子と、公園でキャッチボールをしていたときのことです。
そこはボール遊びが認められている公園で、私たちは広場の端を使って、持参したボールを投げ合っていました。
息子が投げたボールをグローブで受け止めたとき、一人の男の子がこちらへ走ってきました。
息子と同じくらいの年齢でしょうか。私の前で立ち止まると、いきなり手を差し出してきたのです。
「僕にそのボールちょうだい!」
突然のことに驚きましたが、悪気のなさそうな顔を見て、思わず笑ってしまいました。
「ごめんね。これ、今使ってるんだ。ほかに持ってきてないから、あげられないんだよ」
「えー、ほしいなあ」
男の子は諦めきれない様子です。
少し離れたところには、母親らしい女性が立っていました。こちらを見ていましたが、男の子を呼び戻す様子はありません。
すると、その女性が私たちのほうへ歩いてきました。
女性は私の手元のボールを見ると、小さく舌打ちをしました。
「子どもが欲しがってるんですけど。譲ってもらえませんか?」
「すみません。うちもこれ一つしかないので」
そう答えると、女性は不満そうな顔をしました。
「たかがボールじゃないですか。子ども相手に、そこまで断らなくても…」
正直、困ってしまいました。
息子と遊ぶために持ってきたボールです。これを渡してしまったら、キャッチボールを続けられません。
かといって言い返せば、余計に話がこじれそうです。
私が返事に迷っていると、そばに来た息子が不安そうにこちらを見ていました。
私は息子にボールを渡しました。息子は両手でしっかり抱え、女性の顔を見上げていました。
男の子が思い出したこと
女性は腕を組み、まだ納得していない様子でした。
そのとき、男の子が母親の服の裾を引っ張りました。
「ねえ、ママ。うちにもボールあるじゃん。持ってくるの忘れただけでしょ?」
女性は一瞬、言葉に詰まったようでした。
男の子はそんな母親の様子を気にすることなく、続けます。
「赤いやつ。昨日、玄関に置いたじゃん」
どうやら、家には男の子自身のボールがあるようです。
女性は「あ…」と小さく声を漏らし、気まずそうに私から目をそらしました。顔も少し赤くなっています。
少し離れたベンチにいた別の親子も、やり取りが聞こえていたのか、下を向いて笑いをこらえているようでした。
「……そうだったね。じゃあ、取りに帰ろうか」
女性はそれ以上何も言わず、男の子の手を取りました。
「うん!」
男の子は元気よく返事をすると、帰り際にこちらを振り返りました。
「ばいばい!」
「ばいばい」
息子も手を振り返しました。
二人が見えなくなってから、私たちはキャッチボールを再開しました。
しばらくボールを投げ合っていると、息子がふと思い出したように笑いました。
「あの子、正直だね」
私も思わず笑ってしまいました。
少し困った出来事でしたが、男の子の何気ないひと言のおかげで、それ以上揉めずに済んだのでした。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














