tend Editorial Team

2026.10.29(Thu)

「鯛は俺がさばく。素人は出ていけ!」と元板前を名乗り姪を締め出す叔父。まな板の前で迎えた末路

「鯛は俺がさばく。素人は出ていけ!」と元板前を名乗り姪を追い払おうとする叔父。まな板の前で迎えた末路

「鯛は俺がさばく。素人は出ていけ!」と元板前を名乗り姪を追い払おうとする叔父。まな板の前で迎えた末路

新築祝いの台所で出ていけと言われた日

叔父は腕を組み、脇に立つ私に台所から出ていけと言いました

叔父は腕を組み、脇に立つ私に台所から出ていけと言いました

春の日曜、叔父が建てた新居の新築祝いに呼ばれ、私は魚屋で選んだ尾頭付きの鯛を持って台所へ入りました。

祝いの席に出してもらうつもりで、朝一番に買った鯛です。

魚屋には、うろこと内臓の下処理だけお願いしていました。

広い台所の中央にはアイランド型の調理台があり、まな板が置かれています。

調理台の前に立つ叔父は、私が持ってきた鯛をまな板に置くと、腕を組んで胸を張りました。

「鯛は俺がさばく。素人は出ていけ!」

叔父は脇に立つ私をにらみ、調理台のそばに置いた包丁ケースに手をやりました。

「この包丁は、俺の特注の一本だ。」

叔父は板前を20年やったと言い切り、台所に二人だけが残りました

叔父は板前を20年やったと言い切り、台所に二人だけが残りました

叔父は母の弟で、親戚が集まれば誰も逆らえない人です。

鯛を持ってきたのは私なのに、と思っても、言葉が出ませんでした。

叔父は最近、遠い町からこの町へ戻ってきたばかりです。

長く離れて暮らしていたため、少なくとも私は叔父の以前の仕事を詳しく知りませんでした。

引き戸の向こうの広間では、親戚が先に酒を飲み始めています。

先ほど、叔父が『祝いの魚は俺がさばく』と宣言したばかりです。

叔母は広間で客の相手に追われ、台所へ来られません。

台所には叔父と私の二人だけでした。

「俺は板前を20年やった。」

叔父は『板前を辞めて何年にもなるが、今も毎週さばいている』と言い足しました。

「魚が悪くても、失敗は一度もない。」

言い返せない私が叔父に頼んだこと

鯛をさばこうとした叔父は骨に刃を引っかけ、何度も切り直すうちに身を崩してしまいました

せめて朝一番に選んだ鯛の行く末だけは見届けたい、と思いました。叔父の機嫌を損ねない頼み方は、持ち上げることだけです。

「板前の技を、習わせてください。」

叔父の口の端が、ゆるみました。宣言したばかりの手前、頼られて引っこむ人ではありません。

『板前の手並みを、よく見ておけ』と言って、私がそばで見ていることを認めると、特注の包丁を握りました。

叔父は鯛の頭の根元に刃を入れ、一気に引きました。

ところが刃は硬い骨に引っかかって止まりました。叔父は力まかせに包丁を動かし、何度も角度を変えて切り直します。

しかし、うまく骨に沿って切り進められず、身は不ぞろいな切れ端になっていきました。

まな板の上には、形の崩れた鯛の身が残りました。自信満々だった叔父の顔から、笑みが消えていました。

叔父は包丁をまな板に置き、エプロンの紐をほどきました

叔父は包丁を握ったまま、崩れた身を見下ろしました。

「この鯛が悪いに決まってる!」

魚が悪くても失敗しないと言い切ったのは、叔父自身です。包丁も、自慢の特注の一本でした。

「魚のせいには、できません。」

叔父は口を一文字に結び、包丁をまな板に置きました。

『皿洗いのころは、板さんがこんな鯛を…』とまで口走り、はっと口を閉じました。

私は、叔父が皿洗いをしていたころの話をもう少し聞いてみました。

すると叔父は、実際には数か月間、料理店で皿洗いをしていただけで、板前として魚をさばく仕事はしていなかったと、気まずそうに認めたのです。

20年間板前をしていたという話も、毎週魚をさばいているという話も、見栄を張って口にしたものだったようです。

そのとき、広間から『鯛はまだか』と親戚の声が飛びました。

叔父は何も言い返さず、エプロンの紐をほどきました。出ていけと言った台所から、先に出ていったのは叔父でした。

私は叔母に事情を説明し、残った鯛の身で鯛めしを作らせてもらうことにしました。崩れた身から骨を丁寧に取り除き、軽く焼いてから、米や調味料と一緒に炊き込みました。

出来上がるまで少し時間はかかりましたが、広間には無事に鯛めしを出すことができました。叔父はそれ以上、料理の腕前を自慢することはありませんでした。


※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

RANKING

OTHER ARTICLES

NEW 2026.11.03(Tue)

「事務職は定時で帰れて楽だね」と合コンで見下すデザイナー。会計で私が財布を出すと、彼は言葉を失った
tend Editorial Team

NEW 2026.11.03(Tue)

「お母さんもそばにいたのにね」公園の砂場で聞こえた母親たちの陰口。だが、何も言い返せなかった私を救った一言
tend Editorial Team

NEW 2026.11.03(Tue)

「勝手に悪者にするな!」と騒音の苦情の席に怒鳴り込んだ隣人。私が静かにスマホを出すと、住民の前で頭を下げた
tend Editorial Team

RECOMMEND

2026.06.02(Tue)

「返信10分以内で、GPS共有が普通だよね」2回目のデートで本性を出した男→深夜に届く長文にブロックを決意
tend Editorial Team

2025.12.09(Tue)

中国大使館「台湾問題で火遊びをする者は、必ずや自らを焼き滅ぼすことになる」とXで投稿→「火遊びしてるのはどっちだ」「ブー...
tend Editorial Team

2026.06.11(Thu)

「キレのある例え最高」とSNSで称賛の声。乙武洋匡氏、藤田ニコルのお宮参り報告へのアンチコメントを強烈な皮肉で一蹴
tend Editorial Team