「俺、まわりから良いパパって言われるんですよ」と豪語する夫。だが、4歳の息子が明かした事実とは
来客の日だけの育児
「今日はゆっくりしていってください。俺が淹れますから」
夫がマグカップを配りながら、にこやかに言いました。
その日は、ママ友が三人。
狭いリビングに座布団を並べての集まりでした。
夫がお茶を出すのは、人が来る日だけです。
「俺、まわりから良いパパって言われるんですよ」
この台詞も、来客のたびに必ず出ます。
「週末は息子とべったりだし、家事も半分は俺ですね」
半分どころか、夫がやるのは自分のカップを流しに置くことくらいです。私は湯呑みを見つめて、黙っていました。
「いいなあ。うちなんて、休みの日は寝てるだけですよ」
ママ友がため息をつくと、夫はますます調子に乗りました。
「妻を休ませるのが、俺の仕事ですから」
そのとき、4歳の息子が絵本から顔を上げました。
「パパ、それ、うそだよ」
場の笑い声が、途中で消えました。
息子が数えていた時間
夫は笑ってごまかそうとしました。
「こら、変なこと言うなって」
けれど息子は、真顔で続けたのです。
「休みの日はゲームばっかり」
私が普段、夫に向かって言っている言葉でした。まさか覚えていたとは思いませんでした。
夫の手が止まり、ポットの湯がカップからあふれました。
「ちょっ、待て。言うほどやってないだろ」
「やってるよ。ママが寝てって言っても、まだやってた」
夫は口を開けたまま、言葉を探しています。助け舟を出す人は、誰もいませんでした。
ママ友の一人が、遠慮がちに聞きました。
「……その間、息子さんは?」
「私と公園です。毎週」
私が答えると、三人の顔から羨ましそうな表情が消えました。誰も夫を見ません。見られないことが、いちばんこたえたようでした。
「いや、その、たまには俺も連れて行ってて」
「たまには、ですか」
年上のママ友が静かに繰り返すと、夫は耳まで赤くしてうつむきました。
ポットを持つ手だけが、小さく震えています。
私はフォローしませんでした。
「本当のことが出てきて、私はすっきりしました」
そう言うと、ママ友たちが声を上げて笑い、夫だけが笑えずにいました。
それから、夫が人前で良いパパを名乗ることはなくなりました。
先月の日曜のことです。夫が息子を呼びました。
「公園、行くか」
誰も見ていない、ただの休みの日でした。
玄関で靴を履きながら、息子が振り返って聞きました。
「今日はゲームしないの?」
夫は答えず、ドアを開けました。私と目が合うと、ばつが悪そうに笑ってみせるのが精一杯だったのでした。
※tendが独自に実施したアンケートで集めた、30代・女性読者様の体験談をもとに記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














