「オオカミ、もう来るよ」発表会本番で台本にないセリフを言った子供。だが、先生が笑って話した真実とは
木の役になった子
子どもが通っていた園の生活発表会で、「オオカミと子ヤギ」の劇をすることになりました。
うちの子は子ヤギ役です。同じクラスには、舞台の両端に立つ「木」の役もありました。
「木さんは、風が吹いたら手を揺らすんだって」
帰り道、子どもが楽しそうに教えてくれました。
最初はずっと立っている役なのかと思いましたが、先生によると、森の場面で体を揺らしたり、葉が鳴る音をみんなで表現したりする大切な役なのだそうです。
子どもたちは、それぞれ自分の出番を楽しみにしながら練習していました。
本番で聞こえた一言
発表会当日、ホールにはたくさんの保護者が集まっていました。
幕が開くと、子ヤギたちが段ボールで作った家の前に並び、練習どおりに劇が進んでいきます。
しばらくすると、オオカミが登場する場面が近づきました。
オオカミ役の子が舞台袖で待っていた、そのときです。
舞台の端に立っていた木の役の子が、少し心配そうな声で言いました。
「オオカミ、もう来るよ」
台本にはない一言でした。
近くにいた子ヤギ役の子が思わず舞台袖を見ます。別の子もつられて振り返り、客席から小さな笑い声が聞こえてきました。
先生が舞台袖から身ぶりで合図すると、子どもたちはすぐに自分の場所へ戻ります。
少しだけ順番はずれましたが、オオカミ役の子も無事に登場し、劇はそのまま最後まで続きました。
幕が閉じたときには、客席から大きな拍手が起こっていました。
先生が教えてくれた理由
発表会が終わったあと、担任の先生が笑いながら話してくれました。
「あの子、本当にオオカミが来るのを心配していたみたいなんです」
練習中は、自分の立つ位置をきちんと覚え、ほとんど台詞を間違えたこともなかったそうです。
ところが本番では、舞台袖にいるオオカミ役の子が見えた瞬間、思わず知らせなければと思ったのでしょう。
「練習どおりにできるのももちろんうれしいですけど、こういうところにも子どもらしさが出ますね」
先生の言葉を聞いて、周りにいた保護者も笑っていました。
私も、きれいにそろった劇より、その一言のほうをよく覚えています。
後日、子どもに発表会のことを聞くと、楽しそうにこう言いました。
「木さん、オオカミ来るの見えてたんだよ」
子どもたちにとっては失敗ではなく、それも含めてひとつの劇だったのかもしれません。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














