「旦那さん、いつも帰りが遅いんでしょう」夫の帰宅時間を話題にされていた私。曖昧に笑うことしか出来なかった私を救ったのは
三人で座っていた日の、何気ない世間話
子どもの習い事の待ち時間は、いつも教室の外にある長椅子で過ごしていました。ガラス越しに子どもたちを眺めながら、近くに座った保護者同士で世間話をすることもあります。
その中に、よく話す方がいました。明るくて話題も多く、その人がいると待ち時間が短く感じるような方です。
以前、夫の帰宅が遅いことを何気なく話したことがありました。
「帰ってくるのは、だいたい子どもが寝たあとなんです」
その日、長椅子には私を含めて三人で座っていました。話題が家事や夫の帰宅時間になったとき、その方が私を見て言いました。
「旦那さん、いつも帰りが遅いんでしょう。ほぼ一人でやってるようなものだよね」
「いつも」とまでは話していませんでしたが、私は曖昧に笑いました。
たぶん、大変さを分かってくれようとしていたのだと思います。ただ、自分の家のことが少しずつ大きな話になっていくのが、私はあまり得意ではありませんでした。
隣から返ってきた一声
すると、隣に座っていた方が前を向いたまま口を開きました。
「そういう日が続くと大変だよね。うちは週2でも音を上げてる」
その方は普段、それほど口数が多い人ではありません。
私をかばったわけでも、誰かを注意したわけでもありません。ただ、自分の家の話をしただけでした。
「そうそう。夕方から寝かしつけまで一人だと大変だよね」
最初に話していた方もそう返し、そこから話題は夕飯の支度へ移っていきました。
「今日はもう買って帰ろうかな」
「うちも。帰ってから作る気力ないかも」
いつものような世間話が続き、その日はもう私の夫の帰宅時間が話題になることはありませんでした。
帰り道で思い出したこと
習い事が終わると、隣に座っていた方と途中まで一緒に帰りました。
けれど、その方は長椅子でのやり取りには一度も触れませんでした。
子どもの上履きが小さくなったことや、次の休みに何をするか。そんな話をしながら歩き、信号のところで「また来週」と手を振って別れました。
あの一言が、私のためだったのかどうかは分かりません。本当に、自分の家のことを思い出して話しただけだったのかもしれません。
それでも、自分が何も言わなくても、話の向きが少し変わることがあるのだと知りました。
それ以来、誰かの家庭の話が少し広がりすぎたと感じたとき、私は自分の話を挟むことがあります。
あの日、長椅子の隣から聞こえた短い一言を、今でもときどき思い出します。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














