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2026.09.12(Sat)

「名前で呼んであげたほうがいいと思う」子供を名前で呼ばない母親。だが、他の保護者が何気なく伝えた一言

「名前で呼んであげたほうがいいと思う」子供を名前で呼ばない母親。だが、他の保護者が何気なく伝えた一言

運動会の列のわきで、静かに返した人がいた

子どもの運動会で、私は救護テントの近くの当番に入っていました。

グラウンドでは次の競技の招集が始まり、白い線のわきに子どもたちが少しずつ集まっていました。

私の前には、うちの子と同じ学年の男の子の母親と、その子の妹が立っていました。

その家は三人きょうだいで、男の子は真ん中の子です。

私は以前から、少し気になっていることがありました。

上の子と妹は名前で呼ばれているのに、その男の子だけ、母親から名前ではない呼び方をされることがあったのです。

うちの子と仲のいい子だったこともあり、少しぞんざいにも聞こえるその呼び方が、耳に残っていました。

競技の合間、その男の子を探していた友達が走ってきました。

「ねえ、まだ来てない?」

母親は辺りを見回しながら、いつもの名前ではない呼び方で男の子のことを口にしました。

すると妹も、母親の言い方をまねるように同じ呼び方をしました。

「あっちにいるんじゃない?」

その言葉が続くと、近くにいた何人かの保護者が一瞬だけこちらを見ました。

私も気にはなりましたが、よその家庭のことでもあり、何も言えずにいました。

そのとき、私たちの少し後ろにいた別の保護者が、ためらうように一歩前へ出ました。

「…あの、名前で呼んであげて」

母親が振り返りました。

「え?なんですか?」

その保護者は少し間を置いて、もう一度言いました。

「その子のこと、名前で呼んであげて」

母親は戸惑ったような顔をしました。

「でも、家ではずっとこう呼んでるんですけど」

「そうなんですね。でも…名前で呼んであげたほうがいいと思う」

三度目も、声を荒らげることはありませんでした。母親を責めるような言い方でもありません。

その保護者はそれ以上何も言わず、子どもたちが並ぶ白い線のほうへ視線を戻しました。

名前を呼ばれた子が見せた、その日の顔

母親は何か言いかけましたが、そのまま黙りました。

友達はまだそばで待っています。

そのとき母親がテントの横へ目を向けると、裏手から男の子の姿が少し見えました。

母親は一度息をついてから、今度はその子の名前をはっきりと呼びました。

「あ、いた。あそこにいる。悪いけど、一緒に連れてきてくれる?」

「うん、わかった」

友達が走っていき、ほどなくして男の子と一緒に戻ってきました。

男の子は母親のほうを見て、一瞬だけ意外そうな顔をしました。自分の名前を呼ばれたことに気づいたようにも見えました。

けれど何も言わず、友達の隣に並ぶと、体操服のすそを直しました。

妹が母親の袖を引きました。

「お兄ちゃん、いたね」

「うん」

母親は短く答えました。

それから男の子の名前をもう一度呼びました。

男の子が振り返ります。

「ちゃんと見てるからね」

男の子は少し照れたように手を上げました。

やがて合図が鳴り、白い線の上を子どもたちが一斉に走り出しました。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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