「分からんなら他の人を呼べ、あんた初心者かい」何度説明しても納得しない客。だが、困っていた新人の前で店長が確認したこと
2度くり返されたポイントの催促
学生だった20代のころ、私は住宅街にあるコンビニでアルバイトをしていた。
その店は、あるポイントサービスの対象外だった。そのため、カードを出されたときには、その都度使えないことを説明する必要があった。
働き始めて3か月ほどたったある日の昼過ぎ、年配の女性客がパンと牛乳をレジに置いた。
会計を始めようとすると、女性は財布から一枚のカードを取り出した。
「これ、ポイントつけてちょうだい」
私はカードを確認してから、女性へ返した。
「すみません。こちらのお店では、このポイントはお付けできないんです」
女性は少し驚いたように私を見た。
「え? なんで? 前はついた気がするんだけど」
「申し訳ありません。こちらの店舗は対象外になっていまして…」
すると女性の声が少し強くなった。
「だから、ポイントつけてって言ってるでしょう」
同じことを2度言われ、私はどう説明すれば納得してもらえるのか分からなくなった。
それでも、できないことをできるとは言えない。
「すみません。でも、こちらではお付けできないんです」
女性は小さくため息をつくと、カードをレジ台に置いた。
「分からんなら他の人を呼べ、あんた初心者かい」
責めるような口調に、私は思わず肩に力が入った。
店長が伝えたのも、同じことだった
少し離れた売り場で品出しをしていた店長も、こちらのやり取りに気づいていたようだった。
私が呼ぶ前にレジへ来ると、女性に軽く頭を下げた。
「お待たせしました。どうされましたか?」
女性はカードを持ち上げた。
「これよ。ポイントつけてって言ってるのに、この子ができないって言うの。前はついたと思うんだけど」
店長はカードを確認し、落ち着いた声で答えた。
「そうでしたか。分かりづらくて申し訳ありません。ただ、こちらの店舗はこのポイントサービスの対象外なんです」
そう言って、店長は入口のほうを示した。
自動ドアの近くには、ポイントサービスの対象外であることを知らせる案内が貼られていた。
女性はそちらに目を向けたものの、まだ納得しきれない様子だった。
「でもねえ、前につけてもらった気がするのよ」
「そうだったんですね。ただ、現在はこちらではお付けできません。このスタッフがお伝えした内容で間違いありません」
店長が静かにそう伝えると、女性はカードと張り紙を交互に見た。
少し間があってから、ふっと息を吐いた。
「……じゃあ、いいわ」
女性はお金をトレーに置いた。
私はそのまま会計を済ませ、商品を渡した。女性はそれ以上何も言わず、袋を持って店を出ていった。
自動ドアが閉まると、店長が私のほうを振り返った。
「大丈夫?」
「はい。でも、何回言っても伝わらなくて…。私の説明が悪かったのかなって思いました」
店長は首を横に振った。
「いや、ちゃんと説明できてたよ。できないものは、何度聞かれても同じように伝えるしかないから」
その言葉を聞いて、張りつめていた気持ちが少しほどけた。
「ありがとうございます」
「困ったら呼んで。まだ慣れてないんだから、一人で全部どうにかしなくていいよ」
そう言うと、店長は同じ内容の案内をレジ横にも一枚貼った。
しばらくして次のお客さんがレジへ来た。
私はさっきより少しだけ落ち着いた声で、「いらっしゃいませ」と言うことができた。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














