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2026.10.29(Thu)

「店員さんなのに分からないの?」薬の説明を求める客。だが、社員が正論を返した結果

「店員さんなのに分からないの?」薬の説明を求める客。だが、社員が正論を返した結果

急いでいた女性客

まだ学生だったころ、私はドラッグストアでアルバイトをしていました。

ある日のお昼すぎ、薬の棚の商品をそろえていると、30代くらいの女性客に声をかけられました。

女性は両手に一つずつ薬の箱を持ち、私に差し出しました。

「これとこれ、どっちが効くの?何が違うのか教えて」

薬の効能や選び方についての相談は、資格を持つ社員が担当します。

学生アルバイトの私にはその資格がなかったため、自分の判断で説明することはできません。

「申し訳ありません。お薬の詳しい説明は資格のある者が担当しますので、社員をお呼びしますね」

すると女性は、不満そうな顔をしました。

「え、店員さんなのに分からないの?」

「すみません。今、ほかのお客様の対応をしているので、少しお待ちいただけますか」

女性は大きくため息をつき、腕時計を見ました。

「私は急いでるんだけど」

「申し訳ありません。終わり次第、すぐに参りますので……」

「だったら最初から分かる人がいてくれたらいいのに。こんなに待つと思わなかったわ」

女性の声は少しずつ大きくなり、通路の向こうにいたお客様もこちらを気にし始めました。

私も早く対応したかったのですが、薬の違いを適当に説明するわけにはいきません。

何度も謝りながら、社員が来るのを待つしかありませんでした。

社員が伝えた一言

しばらくして、白衣を着た40代くらいの女性社員が来てくれました。

社員は私の横に立つと、女性客に頭を下げました。

「お待たせして申し訳ありません。こちらのお薬ですね」

女性は二つの箱を差し出しながら、まだ納得できない様子で言いました。

「そうです。急いでるのに、ずっと待ってたんですけど」

「お待たせしてすみません。薬の説明は、資格のあるスタッフが対応することになっているんです」

「でも、店員さんなら少しくらい分かるでしょう?」

社員は穏やかな口調で答えました。

「そうですね。ただ、資格のないスタッフが自分の判断で説明するわけにはいかないんです」

女性は何か言いかけましたが、そのまま口を閉じました。

先ほどまで強い口調だった女性が急に静かになり、少し気まずそうに視線を落としました。

耳のあたりも赤くなっているように見えました。

社員はそれ以上その話には触れず、二つの箱を見ながら続けました。

「では、違いをご説明しますね」

女性は小さくうなずき、説明を聞き始めました。

あれほど時間を気にしていたのに、その間は一度も腕時計を見ませんでした。

説明を聞き終えると、女性は薬を一つ選びました。

「……ありがとうございます」

小さな声でそう言うと、私の前を足早に通り過ぎ、レジへ向かっていきました。

その背中を見送っていると、社員がそっと私の肩に手を置きました。

「さっきの対応で大丈夫だからね。無理に答えなくてよかったよ」

「はい。ありがとうございます」

私はそう答えて、また薬の棚へ戻りました。

お客様を待たせてしまったことは申し訳なく思いました。それでも、分からないことを無理に答えず、資格のある人につなぐことも大切な仕事なのだと感じた出来事でした。


※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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