「遅いんだよ!」レジで怒鳴り続ける客。しかし、後ろに並ぶ女性が口を開いた途端、態度が一変
混み合う夕方、列の先頭でいら立つ男性
仕事帰りに立ち寄った、近所のドラッグストアでの出来事です。
夕方の店内は混み合い、レジには列ができていました。
先頭には年配の男性客。そのすぐ後ろに私と同年代くらいの女性客がいて、私はその次に並んでいました。
私の後ろには、子どもの手を引いた家族連れもいます。
店員さんたちは会計や品出しに追われ、忙しそうに動いていました。
そんな中、先頭の男性は落ち着かない様子でした。
前のお客さんのクーポンがうまく読み取れず、若い女性の店員さんが何度か操作し直していたのです。
男性はそのたびに舌打ちをし、つま先で床を鳴らしていました。
やがて自分の番になると、男性は買い物かごをカウンターに乱暴に置きました。
「遅いんだよ。いつまでかかってるんだ」
「お待たせして、大変申し訳ございません」
店員さんはすぐに頭を下げました。しかし、男性の怒りはおさまりません。
ときどき後ろの列を振り返りながら、周囲にも聞こえる大きな声で不満を口にします。
「たかが日用品を買うのに、どれだけ人を待たせれば気がすむんだ」
そう言うと、男性は身を乗り出してカウンターをたたきました。
張りつめた店内で、後ろから届いた声
店員さんの肩がびくっと震えました。
周囲の話し声も小さくなり、私も思わず息をのみました。確かにレジは少し止まっていましたが、それほど長く待たされたわけではありません。
それでも男性の勢いに押され、誰も何も言えずにいました。
そのとき、私の前に並んでいた女性客が口を開いたのです。
「あの、私ずっとうしろに並んでましたけど、ほんの数分でしたよ」
落ち着いた声でしたが、男性にもはっきり届いたようです。
男性は驚いた顔で振り返りました。
「なんだと」
女性客は慌てることなく、静かに続けました。
「みんな見てましたから」
すると、私の後ろにいた家族連れの父親が、ゆっくりとうなずきました。私も思わずうなずいていました。
隣のレジに並んでいた人たちも、男性のほうを見ています。
男性は何か言い返そうとしたように口を開きましたが、結局何も言いませんでした。
カウンターをたたいた手を引っ込め、下を向くと、黙って財布を取り出しました。
店員さんは会計を進めましたが、その間、男性が再び声を荒らげることはありませんでした。
奥から店長が駆けつけてきたときには、男性はすでにお釣りを受け取っていました。
男性は袋をつかむと、足早に店を出ていきました。
自動ドアが閉まったあと、店員さんは先ほどの女性客に向き直り、深く頭を下げました。
「本当に、ありがとうございました」
「いえいえ。がんばってくださいね」
女性客が笑顔で答えると、張りつめていた空気が少しやわらいだ気がしました。
私も自分の番が来たとき、店員さんに声をかけました。
「おつかれさまです。ありがとうございます」
店員さんは少し驚いたようでしたが、ようやく笑顔を見せてくれました。
大声で責める男性に対して、女性客は声を荒らげることなく、ただ自分が見ていたことを伝えただけでした。
あの落ち着いた一言と、周囲の人たちの静かな反応が、今でも印象に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














