「そこを何とかするのが店長でしょう!」予約を断られて声を荒らげた女性客。だが、クリスマス当日に見たのは
予約が終わったあとに来た女性客
以前、手ごろな価格の飲食店でアルバイトをしていたころの話です。
クリスマスが近づくと、店では毎年ケーキの予約を受け付けていました。
ただ、スタッフの人数にも限りがあるため、予約できる期間はあらかじめ決まっていました。
その受付期間が終わってしばらくした、ある夕方のことです。
私がレジに立っていると、コートを着た女性客がやってきました。後ろには会計を待つお客様が何人か並んでいました。
「クリスマスのケーキ、まだ予約できるわよね?」
私は申し訳ない気持ちで答えました。
「すみません。クリスマスケーキのご予約は、もう締め切ってしまったんです」
すると女性客は、大きなため息をつきました。
「えっ、もう終わったの?でも、こっちは客なのよ。予約したいって言ってるんだけど」
「申し訳ありません。受付期間が決まっておりまして……」
そう説明しても、女性客は納得してくれません。
レジ台に身を乗り出し、私をにらむようにして声を大きくしました。
「そんなの、何とかならないの?あなたじゃ話にならないわ。店長を呼んでちょうだい!」
突然の大声に、私は思わず肩をすくめました。
何度説明しても同じ返事になってしまい、どう対応すればいいのか分からなくなっていました。
後ろに並んでいたお客様たちも、困ったように顔を見合わせています。
店長が伝えた、もう一つの購入方法
そのとき、レジの後ろでやり取りを見ていた店長が前に出てきました。
「お待たせしました。どうされましたか?」
女性客はすぐに店長へ向き直りました。
「ケーキを予約したいだけなのに、もうできないって言うのよ。何とかしてちょうだい」
店長は落ち着いた声で答えました。
「申し訳ございません。ご予約は締め切っています。ほかのお客様にも同じようにご案内しているんです」
「そこを何とかするのが店長でしょう!」
女性客はまだ不満そうでしたが、店長は態度を変えませんでした。
「ただ、当日分は朝から店頭で販売します」
そして、続けてこう説明しました。
「先着順になりますので、お早めにお越しください」
女性客は何か言いかけたように口を開きましたが、そのまま黙ってしまいました。
後ろに並んでいたお客様の中には、小さくうなずく人もいました。
女性客は不満そうな表情を残したまま、足早に店を出ていきました。
店長は私に向かって、穏やかに言いました。
「大丈夫。ちゃんと説明できてたよ。決まりだから、仕方ないこともあるからね」
その言葉を聞いて、ようやく緊張がほぐれました。
そして迎えたクリスマス当日の朝。
店の前には、ケーキを買い求めるお客様の長い列ができていました。
入口から外の様子を見たとき、列のずっと後ろのほうに、見覚えのある女性の姿がありました。
あの日、レジで声を荒らげていた女性客です。
同じコートを着た女性客は、白い息を吐きながら、寒そうに肩をすくめて並んでいました。
私は少し驚きましたが、あの日の店長の説明を思い出しました。
女性客も、当日販売の案内を聞いて、買いに来てくれたのでしょう。
私は店内へ戻り、予約されたケーキを一つずつ丁寧に箱へ詰め始めました。
あれほど怒っていた女性客が、今度はきちんと列に並んでいる。その姿が、今でも印象に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














