「こっちは先に来てるんだぞ!」コンビニのレジで怒鳴った男性客。だが、電子レンジが鳴った直後に訪れた沈黙
レジの端で待っていた男性客
仕事帰りの夜、私はコンビニでパンと飲み物を手に取り、レジに並んでいました。
店内は少し混んでいて、私の前には何人かの客が待っています。
先頭にいたのは、40代くらいの男性客でした。弁当とおにぎりをレジ台に置くと、20代くらいの女性店員が声をかけました。
「お弁当、温めますか?」
「うん、温めといて」
店員は弁当を背後の電子レンジに入れ、会計を済ませました。
おにぎりを袋に入れると、男性に声をかけます。
「温まるまで少々お待ちください」
男性がレジの端に寄ったところで、店員は次のお客さんを呼びました。
次に並んでいたのは、パンを持った学生風の男性です。
店員が商品を読み取り、袋に入れていると、レジの端から低い声が聞こえてきました。
「おい、こっちが先だろ」
見ると、弁当を待っていた男性が腕を組み、不機嫌そうに足先で床を鳴らしています。
学生風の客は困ったように肩をすくめました。
やがて、その客が会計を終えて離れた直後です。
男性が突然、レジ台をバンッとたたきました。
「おい!いつまで待たせるんだよ!こっちは先に来てるんだぞ!」
店員は驚いた様子で頭を下げました。
「申し訳ございません。もう少々…」
「もう少々じゃねえよ!客をなめてんのか!」
男性はさらにレジ台へ身を乗り出します。
「だいたい、おにぎりだってあんな入れ方したらつぶれるだろ!どういう教育を……!」
店員はうつむき、レジ台の端をぎゅっと握りしめていました。
次に並んでいた女性も前へ進めず、列は止まったままです。
私も男性の剣幕に圧倒され、何も言えませんでした。
怒鳴り声を遮った電子レンジの音
「だから、お前の対応が…!」
ピピッ、ピピッ!
その瞬間、男性の怒鳴り声に電子レンジの音が重なりました。
男性は口を開いたまま、ぴたりと言葉を止めました。
店員は顔を上げると、背後の電子レンジへ振り返りました。
そして、温まった弁当を取り出し、男性の前へ差し出したのです。
「お客様のお弁当、温め終わりました」
続けて、いつもどおりの丁寧な口調で言いました。
「大変お待たせいたしました」
男性は差し出された弁当を見つめたまま、何も言いません。
それもそのはずです。
店員は男性を後回しにしていたわけではなく、頼まれた弁当を温めている間に、次のお客さんの会計を進めていただけだったのです。
後ろの列から、くすっと小さな笑い声が聞こえました。
男性は耳まで赤くなり、先ほどまでの勢いが嘘のように黙り込んでいます。
そして、弁当を受け取ると、うつむいたまま足早に店を出ていきました。
その後、前の女性の会計が終わり、私の番になりました。
「お待たせいたしました」
女性店員は、先ほどまで怒鳴られていたとは思えないほど、落ち着いた様子で対応してくれました。
私は会計を済ませ、店をあとにしました。
あれほど大きかった男性の怒鳴り声を止めたのは、誰かの反論でも注意でもありません。
男性自身が頼んだ弁当の、温め終了を知らせる音だったのです。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














