「兄貴、今回も立て替えといて」3年前の10万円すら返さない弟。だが、母の還暦祝いの相談中に態度が変わった瞬間
「急かすなよ」と開き直った弟
弟に10万円を貸したのは、3年ほど前のことです。
当時20代後半だった弟は、転職したばかりで、給料日までの生活費が足りないと相談してきました。
「来月、給料が入ったらすぐ返すから。頼むよ」
そこまで言うなら、と私は10万円を振り込みました。兄として、困っている弟を助けたい気持ちがあったのです。
ところが、約束の月を過ぎても返済はありません。
ある夜、弟にメッセージで返済の予定を尋ねると、こんな返事が来ました。
「ごめん。今月も出費が多くてさ。来月には返すから」
仕方がないと思って待ちましたが、その翌月も振り込みはありませんでした。
半年がたつころには、弟は実家でもお金の話を避けるようになっていました。それなのに、母には週末の旅行や新しい服の話を楽しそうにしています。
そんな弟の様子に、私はとうとう我慢できなくなりました。
ある日、実家から帰る前に、母に聞こえないよう廊下で弟を呼び止めたのです。
「なあ、旅行の話はしてたよな。俺に借りた10万円は、いつ返してくれるんだ?」
すると弟は、面倒くさそうに顔をしかめました。
「だから、そんなに急かすなって。兄弟だろ?ケチくさいこと言うなよ」
思わず言葉を失いました。
返してほしいと言っただけなのに、まるで私が悪いかのような言い方です。
それでも、母に余計な心配をかけたくなくて、その場ではそれ以上言いませんでした。
母の前で明らかになった10万円の借金
それから、母の還暦祝いの食事会を相談するため、私と弟は実家に集まりました。
居間の座卓の奥には母が座り、私たち兄弟は向かい合っていました。
弟は食事会のパンフレットを広げながら、何でもないことのように言いました。
「兄貴、今回も立て替えといて」
「あとで払うからさ」
私は思わず弟の顔を見ました。
今回も、ですって?
以前貸した10万円さえ返してもらっていないのに、また私にお金を出させようというのでしょうか。
「悪いけど、もう立て替えないよ。前に貸した10万円を返してもらってからだ」
そう答えると、弟の笑顔が消えました。
そのとき、座卓の奥にいた母が驚いた顔でこちらを見ました。
「えっ、10万円って…。あんた、お兄ちゃんからお金借りてたの?」
弟は母の顔を見て、慌てたように口を開きました。
「いや、その……まだ返せてなくて」
「ちょっと待って。いつ借りたの?」
私が3年ほど前のことだと説明すると、母は眉を寄せました。
「そんなに前なの? 返すって約束して借りたんでしょ?」
「……うん」
「だったら、ちゃんと返さなきゃだめよ。お祝いのお金を出してもらう前に、まず借りたお金のことを考えなさい」
弟はパンフレットに目を落としたまま、黙っていました。
廊下では「ケチくさい」と言い返してきた弟も、母の前では何も言えないようでした。
しばらくして、ようやく小さな声で答えました。
「……分かった。毎月少しずつ返すよ。ちゃんと返すから」
翌月から、弟の振り込みは実際に始まりました。何度も先延ばしにされていた約束が、ようやく動き出したのです。
そして、母の還暦祝いの日。
花束を受け取った母は、食事の会計をする前に弟へ言いました。
「今日の自分の分は、自分で出しなさいね」
弟は少し気まずそうな顔をしながら、財布を取り出しました。
その姿を見て、私はようやく胸のつかえが下りた気がしました。
母の腕には、お祝いの花束が大切そうに抱えられていました。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














