「仕事の連絡なんですよ。しょうがないでしょ」参観中に注意を聞き入れなかった保護者。だが、子どもの発表に黙り込んだワケ
参観日の教室で何度も鳴る通知音
子どもの小学校で授業参観があった日のことです。
その日の授業は、携帯電話とのつきあい方について考えるという内容でした。
子どもたちはグループで意見を出し合い、そのあと一人ずつ発表することになっていました。
保護者たちは教室の後ろに並んで立ち、私も少し後ろから授業の様子を見守っていました。
子どもたちが机を寄せて話し合っていると、突然、近くで携帯電話の通知音が鳴りました。
一度だけではありません。しばらくするとまた鳴り、何度も同じ音が聞こえてきます。
音のするほうを見ると、私のすぐ前に立っている女性の保護者が、携帯電話を操作していました。
女性は画面を見つめたままで、通知音を消す様子もありません。
すると、隣にいた保護者が遠慮がちに声をかけました。
「あの、すみません。携帯の音が…」
女性は顔を上げずに答えました。
「仕事の連絡なんですよ。しょうがないでしょ」
少し強い口調に、声をかけた保護者は困ったように黙ってしまいました。
その後も女性は画面を操作し続け、また通知音が鳴りました。近くの子どもがちらりと後ろを振り返る場面もありました。
仕事の連絡が気になるのは分かります。それでも、せめて音だけは消してほしい。そう思いましたが、授業中に言い争いになるのも嫌で、私は何も言えませんでした。
男の子が発表した直後、再び鳴った音
やがて話し合いが終わり、発表の時間になりました。
ひとりの男の子が立ち上がり、少し緊張した様子で話し始めました。
「ぼくたちのグループで決めたことを発表します」
教室が静かになると、男の子ははっきりした声で続けました。
「人と話すときは、携帯電話をしまいます」
その直後でした。
教室の後ろから、また携帯電話の通知音が鳴り響いたのです。
何人かの子どもが振り返り、周囲の保護者たちも思わず音のしたほうに目を向けました。
私の前にいた女性は、はっとしたように顔を上げました。
ちょうど男の子が発表した内容と、自分の行動が重なってしまったのです。
女性は何か言いかけましたが、結局何も言いませんでした。先ほどまでとは違い、頬を赤くしながら携帯電話の電源ボタンを押し、画面を暗くすると、かばんの奥へしまいました。
先生も教室の後ろに一度目を向けましたが、すぐに男の子へ向き直りました。
「いい発表でしたね。大人も気をつけたいですね」
「はい!」
男の子が元気よく返事をすると、教室に拍手が起こりました。
女性はその後、携帯電話を取り出すことはなく、静かに授業を見守っていました。
授業が終わるまで、通知音が鳴ることもありませんでした。
大人が注意しても変わらなかったことが、子どもの素直な発表をきっかけに変わった。その場面が、今でも印象に残っています。
※本記事は、tendが独自に実施したアンケートで寄せられた20代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














