「洗濯物くらい干させろ」越してきたばかりの私の物干し竿を奪い、竿はなしだと言う理事。管理人の前で自滅
ひと月続いた部屋干し
土曜の屋上で、私の竿にまた理事さんの布団がありました
私の竿に、また水色の布団が干してありました。
マンションの屋上の物干し場、土曜の昼前です。
5月に入っても、土曜はいつもこうで、私の洗濯物は部屋干しです。
布団の持ち主は、同じ4階の403号室に住む管理組合の理事さんです。私がその隣の404号室に越してきて、半年になります。
越してきた日、理事さんから『屋上の竿は4階の5部屋の分。階段室の壁から、部屋番号の順』と教わりました。
竿を拭くのも理事さんで、『竿の並びは10年動かしてない』が口ぐせです。
「そこは私の竿です」と声をかけると、理事さんは布団を手のひらでたたきました。
「洗濯物くらい干させろ。」
「決まりは俺が作った。」
理事さんは竿をたたいて数え、布団の竿を3本目だと言い切ります
「1本目は401。これが決まりだ。」
理事さんは竿を手のひらで順にたたきながら数え、布団の竿で手を止めました。
「壁から1本、2本、3本目。俺の竿だ。」
文句があるならお前の竿はなしだと、理事さんは私を見下ろしました
理事さんは、洗濯かごを持ったままの私を見下ろしました。
「新入りのお前に、何が分かる。」
「文句があるなら、お前の竿はなしだ。」
竿の割り当ては、理事さんが管理しています。
越してきて半年、ほかの住人の顔もまだ知りません。4階の部屋にはベランダがなく、本当に竿を使わせてもらえなくなったら、干す場所はどこにもないのです。
私は洗濯かごの持ち手を握ったまま、返事ができませんでした。
管理人さんが上がってきて
管理人さんが見ている前で、私は洗濯かごを床に置きました
そこへ、バケツを提げた管理人さんが上がってきました。屋上の清掃も担当している人です。
布団と私たちを交互に見て、管理人さんが首をかしげます。「どの竿が、どなたの?」
「こいつが、俺の竿に文句を言う。」
2人きりなら、怒鳴られて終わりです。でも今は、管理人さんが見ています。私は洗濯かごを床に置きました。
「決まりのとおりに、数えます。」
壁ぎわから数えると、布団は4本目の私の竿にありました
「壁ぎわの、この竿が1本目です。」
1・2・5本目には、ほかの家のタオル。3本目は給水タンクの陰で、何も掛かっていません。
「布団は、4本目です。」
404号室の私の竿です。理事さんが『1本』とたたいたのは、壁ぎわを飛ばした2本目でした。
この春に給水タンクが大きくなってから、3本目は昼前に陰に入ります。
理事さんは、4本目から自分の布団を下ろし始めました
「雑巾かけの竿は、数に入らないんだ!」
「1本目は401。5部屋に5本です。」
壁ぎわの竿も401号室に割り当てられたものです。そこを数から外せば、1部屋分の竿が足りなくなります。
私は「竿の並びを、管理人さんにも覚えておいてもらえますか」と頼み、管理人さんはうなずきました。
理事さんは布団を引き下ろして、肩にかつぎました。向かう先は、給水タンクの陰の3本目です。
日の当たる私の竿が、ひと月ぶりに空きました。
※本記事はフィクションです。物語の登場人物、団体、名称、および事件はすべて架空のものであり、実在のものとは一切関係ありません。
※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。














